一山本 新会場の勝ち越し1号 初太刀持ち記念日に花 太刀持つ手震え「キツかった」

 引き落としで豪ノ山(左)を破った一山本
 大の里(右)の土俵入りで太刀持ちを務める一山本
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 「大相撲名古屋場所・9日目」(21日、IGアリーナ)

 平幕の一山本が豪ノ山を引き落として8勝目を挙げた。新会場のIGアリーナ勝ち越し第1号となり、4人だった1敗力士が次々と敗れたため、2023年九州場所以来の単独首位。太刀持ちとして自身初めて横綱土俵入りを務めた記念日に花を添えた。新横綱大の里は立ち合いで圧倒し、小結高安を寄り切って連敗を回避して7勝目。大関琴桜は金峰山に寄り切られて4敗目を喫した。一山本を1差で7人が追う混戦になってきた。

 意外な男が単独首位に立った。一山本は頭から厳しく当たり、のど輪攻めから絶妙の引き落としを決めた。豪ノ山の圧力に負けず「しっかり当たっていった。後輩だし、負けたくなかった」と、中大の先輩としての意地を見せた。

 大の里と対戦する高安に代わり、横綱土俵入りで太刀持ちを務めた。刀を持つ右手が震え「キツかった。普段使わない筋肉だから」と、ド緊張した初めての晴れ舞台だった。「負けると験が悪いと思われる。横綱には勝ってもらいたい」願いも届いた。

 唯一の1敗死守。単独首位は、西前頭14枚目で11勝を挙げて敢闘賞を獲得した23年九州場所9日目以来だ。それ以来コツコツと番付を上げ、今年春場所では豊昇龍から初金星を挙げるなど、上位陣との対戦も増えた。夏場所は5勝10敗と大負けしたが「(番付を)一つでも上げられるように気を引き締めたい」と、勝ち越しで満足はしていない。

 師匠の放駒親方(元関脇玉乃島)は「本人は言葉にしないが、三役を狙っている。相撲が変わった。以前のように簡単にはたいたり、引かなくなった」と期待を寄せる。ヒグマ騒動が起こった北海道・福島町の役場の公務員から、夢を追って大相撲入りした31歳。新三役への飛躍を狙う場所だ。

 8月には故郷の北海道で巡業が控えるだけに「いい成績で帰りたい」と意欲十分。6月15日のプロ野球・日本ハム対広島戦では、郷土力士として始球式を務め、持ち前のサービス精神できつねダンスを披露。0-7から8-7への大逆転勝利を目撃した。

 パ・リーグ首位の日本ハムのように、トップに立った一山本。「最後まで諦めない面白い試合だった」と述懐するサプライズ。自身も土俵で再現してみせる。

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