柳田大輝が涙 優勝候補が痛恨のフライング失格 「スタートすらできなかったので。冷静さを欠いてしまった」

 「陸上・日本選手権」(4日、国立競技場)

 世界選手権東京大会代表選考会が開幕し、男子100メートル予選で大波乱が起きた。世界選手権2大会連続入賞を果たし、今大会の日本選手で唯一参加標準記録(10秒00)を突破しているサニブラウン・ハキーム(26)=東レ=が10秒45の7組4着で落選。参加標準記録を切って3位以内に入れば代表に決まる場で、アジア選手権2連覇の柳田大輝(21)=東洋大=は不正スタートで失格した。夜に行われた準決勝で桐生祥秀(日本生命)らは5日の決勝へ進出したが、9秒95の日本記録を持つ山縣亮太(セイコー)は敗退した。

 両膝に手をつき、がっくりとうなだれた。優勝候補の柳田が、痛恨のフライング失格。号砲が鳴る前に姿勢が崩れ、前のめりに倒れてしまった。

 「何もないっすよ…スタートすらできなかったので。ピストルが鳴って頭の中が真っ白になった記憶がかすかにある。どこか冷静さを欠いてしまった」。一度は頭の整理が付かず、通り過ぎた取材エリア。戻ってきて話している時には、涙が止まらなかった。

 100メートル勢で最も好調だった。5月の関東学生個人選手権で追い風参考ながら9秒95を記録すると、同月のセイコー・ゴールデングランプリでは、2019年世界選手権王者のコールマン(米国)に競り勝ち優勝。アジア選手権は2連覇し、今季日本最速タイム(10秒06)を持って今大会を迎えていた。

 400メートルリレー決勝でメンバー外となったパリ五輪から、人一倍強い悔しさを持って自国開催の世界選手権を目指してきただけにダメージは大きい。しかし、世界ランキングによる出場の可能性は残されている。

 「立ち直れと言われても、すぐには無理。でも今季が終わるわけではないので、次に向けてやっていけたら」。涙を何度も拭い、必死に前を向いた。

 ◆柳田大輝(やなぎた・ひろき)2003年7月25日、群馬県館林市出身。両親の影響で館林一小のときに県内の陸上教室で競技を始めた。館林一中から東農大二高を経て、東洋大に進学。1年時の22年日本選手権で3位に入り、同年世界選手権の400メートルリレーで初代表。同23年大会では100メートルにも出場した。24年パリ五輪400メートルリレー代表。182センチ、71キロ。

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