日本相撲協会は２日、両国国技館で臨時理事会を開催。史上最多の優勝４５度を記録した元横綱白鵬の宮城野親方（４０）から提出された６月９日付けの退職願を受理した。また、元幕内北青鵬の暴力問題により昨年４月から閉鎖となっている宮城野部屋の処遇について審議した。

　臨時理事会では宮城野親方からの退職願提出を受け、一門の理事である浅香山理事、宮城野部屋を預かっている伊勢ケ浜親方、また両親方から毎場所後に状況報告を受けていた春日野理事より、報告が行われた。

　浅香山親方は「今年の一月場所から、継続して宮城野部屋の再開については話をしていた。そのような中で、伊勢ケ浜親方が定年退職するにあたり、七月場所から伊勢ケ浜部屋の師匠が交錯することから、八角理事長より『今後は浅香山部屋で預かること、準備期間も踏まえ、預かりの解除を十一月場所後とすることを検討するように』と指示があり、その方向で宮城野に説明し、幾度となく思い留まらせるよう話をしたが、宮城野は退職の意向を示した」と報告した。

　また、伊勢ケ浜親方からは「何度も宮城野を説得し、近いうちには部屋は再開されるのだから、もう少し辛抱してはどうか、と慰留を試みたが、本人の意思が固かった」、「慰留できず申し訳ない」という言葉もあったという。

　また、「宮城野は自身の弟子のことを心配していて、いずれ宮城野部屋が復興できるように、伊勢ケ浜部屋での預かりを継続して欲しい、と話していた」、「宮城野の弟子らとも話をしたが、皆、それを望んでいた」と報告もされた。

　春日野理事によると、執行部にも昨年預かりとなって以降、場所ごとに浅香山理事、伊勢ケ浜親方から報告が入っていたというが、「退職の意向もあってか、伊勢ケ浜親方からは『宮城野は、弟子の指導にも身が入っていないようだ』とも聞いていたので、早期の再開の話は出せなかった」とした。

　これの報告を受けた後、宮城野の退職願を受理。宮城野部屋の力士らの今後についても協議し、「力士らのことを第一に考え、当面は伊勢ケ浜部屋で継続して預かること、今後、宮城野部屋力士らの指導育成を望む年寄が協会に申し出た場合は、その是非や形態について、その時の状況やその時の伊勢ケ浜部屋師匠の考え等を総合的に考慮し、理事会で審議し決定することを全会一致で可決した」という。

　宮城野親方（元横綱白鵬）の処遇を巡るきっかけとなったのは元幕内北青鵬の暴力問題。宮城野親方は監督責任や通報義務違反などで懲戒処分を受けた。「師匠としての素養、自覚が大きく欠如していることが確認された」として、弟子は伊勢ケ浜部屋の預かりとなった。宮城野親方は閉鎖から１年以上が過ぎても部屋再開の見通しが立たないことなどから、協会退職を決意したとみられている。