綱とりの大の里は普通にやれば大丈夫 当たって前に出るだけでいい 課題は引かないこと 武蔵川親方が展望
「大相撲夏場所」(11日初日、両国国技館)
大相撲夏場所は11日に両国国技館で幕を開ける。注目は初の綱とりに挑む大関大の里(24)。場所後に横綱に昇進すれば、年6場所制に移行した1958年以降では輪島の所要21場所を上回る13場所、新入幕からは大鵬の所要11場所を上回る9場所の最速記録となる。デイリースポーツ評論家で元横綱武蔵丸の武蔵川親方が展望した。
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綱とりがかかる大の里は、このまま普通にやれば大丈夫だと思うな。周りは体が小さいお相撲さんばかりで、稽古をガンガンやる訳でもない。相手はいないんじゃないかな。
体があるんだから、当たって前に出るだけでいい。課題は一発で持っていけない時に、引かないこと。負ける時はこればかりだもんね。その時は、膝を曲げて少し我慢して、どっちでもいいからまわしを取って圧力をかけること。常に前に出ることを意識してほしい。
僕は右をねじ込むようにして横綱になったと言われるけど、そうじゃない。左の手首やいろいろな所が悪くて相撲を変えた結果、そうなっただけ。精神的には昇進を決めた場所(1999年夏場所)は、何も考えていなかったな。一日一番の気持ちだけだった。
大の里は新しい技術を覚えたり、何かを変える必要はない。だから精神面が大事になるよね。考えすぎないこと。相手を意識しないこと。僕の時のように、一日一番の気持ちでやってほしい。
先場所は途中休場した豊昇龍にも頑張ってほしいな。昇進時に「型がないのが自分の型」と言っていたけれど感心しないね。何でもできる器用さは認めるけれど、それだと安定しない。胸を合わさないよう、まわしを浅く持って、常に下から攻める相撲を磨いてほしいな。
先場所は優勝すると思ったけれどダメだった高安は、応援しているから頑張ってほしい。だけど大の里以外は何となく勝ってしまうので、大の里が不調の時は、誰が優勝するか全く分からない。それでも皆が自分の持ち味を出し切る相撲を心がけて、お客さんを喜ばせてほしいね。





