宮城出身・時疾風「今日は勝ちたかった」玉正鳳押し出し 震災14年の日に故郷へ恩返し星

 「大相撲春場所・3日目」(11日、エディオンアリーナ大阪)

 宮城県栗原市出身の時疾風が、東日本大震災の発生から14年となる節目の日に玉正鳳を押し出しで下した。故郷に勇姿を届け、2勝1敗と白星を先行。自身初となる幕内勝ち越しへ奮闘を誓った。横綱豊昇龍は若元春を首投げで退け連勝。大関陣は大の里が豪ノ山を寄せ付けず3連勝、かど番の琴桜は阿炎に屈し黒星先行の2敗目を喫した。

 いつも以上に勝ちたかった。2勝目を挙げた時疾風は「やはり今日は勝ちたい気持ちがあった。忘れられない日なので」と、感慨を口にした。玉正鳳の突き、いなしに動じず正面から押し返し、相手の引きに乗じて一気に押し出した。「まわしにこだわらずいけた」と納得の内容だった。

 震災で被害を受けた故郷への思いがあった。当時は中学2年生。翌日の卒業式の準備中に激しい揺れに襲われ「走って逃げました」と振り返った。内陸部で被害は大きくなかったものの、翌日から休校となり、卒業式は中止になった。

 自宅は無事だったが、一部ライフラインが止まり「電気と水のありがたみを知った」と語った。東農大では教職免許を取得。しかし、震災の経験から「自分がテレビに出れば元気づけられるのでは」と考え、大相撲に進むきっかけの一つになった。

 古くは江戸時代に活躍した谷風ら横綱を輩出した宮城県だが、近年はやや低迷気味。時疾風は昨年夏場所で新入幕を果たしたが、同県からは27年ぶりだった。「相撲が格好いいな、楽しいなと思ってくれて、いずれ時津風部屋に入門してくれたら最高です」と、故郷の相撲人気を高めたい気持ちも強い。

 通算3場所の幕内経験で勝ち越しはない。4場所目の今場所は白星が先行。「少しでも相撲で恩返しを。まずは勝ち越したい」と先を見据えた。

 ◆時疾風英喜(ときはやて・ひでき)本名は冨栄秀喜。1996年8月25日、宮城県栗原市出身の28歳。8歳で相撲を始め小牛田農林高、東農大を経て時津風部屋に入門。19年春場所で初土俵。23年夏場所で新十両、24年夏場所で新入幕。最高位は東前頭15枚目。スポーツ経験は相撲、サッカー、バレーボール。趣味は掃除。家族は志織夫人と一女。

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