羽生結弦さん 鎮魂の舞い 東日本大震災から14年 野村萬斎との共演で伝説「SEIMEI」演じた
フィギュアスケート男子で五輪2連覇を達成した仙台市出身のプロスケーター、羽生結弦さん(30)が座長を務めるアイスショー「羽生結弦 notte stellata」が7日、宮城県利府町のセキスイハイムスーパーアリーナで開幕した。自身も被災した東日本大震災から11日で14年を迎える中、狂言師の野村萬斎(58)との共演で伝説的プログラム「SEIMEI」を演じ、生まれ故郷に鎮魂の願いを込めて舞った。同アイスショーは3年連続の開催。公演は9日まで行われる。
唯一無二のスケーターと、狂言師が呼応しながら描き出す世界観が、会場の空気を浄化していった。震災当時、遺体安置所でもあった会場。野村萬斎演じる安倍晴明が、「天・地・人」の言葉とともに、式神として羽生結弦を召喚。晴明と式神が躍動的な演武を繰り出しながら、照明演出により青龍、白虎、朱雀、玄武、黄龍の星を映し出し、氷上に五芒星を完成させ、魂を鎮めた。
五輪連覇を成し遂げた2018年平昌五輪のフリー演目「SEIMEI」。今から10年前にプログラムを作り上げる際に、映画「陰陽師」で安倍晴明を演じた狂言師、野村萬斎と対談する機会があり、助言を受けていた。今回のコラボレーションでは萬斎が演出を担当。生と死が交錯する壮大な世界観を作り上げた。
集団演目では萬斎が2011年に「鎮魂」と「再生」への思いを込めて初演した「MANSAIボレロ」とフィギュアスケートが融合。中央の舞台で繰り広げられる萬斎の動き、床を踏む音に合わせて、銀盤の上では装束衣装を着た羽生さんが、袖を美しくたなびかせながらシンクロさせた。
3・11からまもなく14年。「今日が千秋楽かなというぐらい全体力と気力を使い果たしました。それぐらい一瞬も気持ちを切らさずに。3・11やいろんな災害に対してできることを、何かのきっかけになるようにと願いながら祈りながら滑らせてもらいました」と語った羽生さん。希代の表現者2人が鎮魂の祈りをささげた空には、この日も美しい星々が輝いていた。
◆羽生さんが滑った演目
1.Notte Stellata
2.MANSAIボレロ×notte stellata(野村萬斎、羽生結弦、シェーリーン・ボーン・トゥロック、宮原知子、鈴木明子、無良崇人、田中刑事)
3.SEIMEI(羽生結弦×野村萬斎)
4.春よ来い




