葛西優奈 個人種目日本女子初V 双子の妹・春香とW表彰台「うれしさ2倍。最高の一日」

 「ノルディックスキー・世界選手権」(27日、ノルウェー)

 複合女子はマススタート方式の個人ノーマルヒルで、21歳の葛西優奈が優勝した。双子の妹の春香(ともに早大)は3位に入って2大会連続の銅メダルを獲得し、そろって表彰台に立った。葛西優は前半距離(5キロ)で3位につけ、後半飛躍(ヒルサイズ=HS102メートル)で96・5メートルを飛んだ。日本勢が個人種目を制したのは1999年大会ジャンプ男子ノーマルヒルの船木和喜以来で、女子では史上初。

 後半飛躍でK点(94メートル)越えのジャンプを決めると、葛西優は両手を突き上げて感情を爆発させた。逆転で制し、女子の個人種目では日本勢初となる金メダル。葛西春と姉妹で表彰台に上がり「うれしさも2倍。最高の一日だった」と歓喜の余韻に浸った。

 前半距離で奮闘した。先頭集団の最後方に食らいついて機会を待ち、最後の上り坂で仕掛けてトップと3秒6差でゴール。飛距離換算では0・5メートルにも満たない僅差の3位に入り「自分から攻めた走りができた。それが後半につながった」と胸を張った。リレハンメルでの事前合宿で急な坂を繰り返し駆け上がり、磨いてきたスパートが生きた。

 昨季以降は双子の妹、葛西春の後塵(こうじん)を拝すことが多かったが「負けていられない」と鍛錬。今季は悲願のW杯初勝利も挙げた。まだ五輪に採用されていない複合女子の普及へ「こういう世界大会で活躍することが競技を知ってもらうチャンス。2人で一緒に知名度を上げていきたい」と使命感を抱く。

 双子の複合選手と言えば、男子で1995年のサンダーベイ(カナダ)世界選手権団体を制するなど一線で活躍した荻原健司・次晴を思い起こさせる。最強姉妹としても挑戦を続けていく。

 ◆葛西優奈(かさい・ゆうな)2004年2月4日、札幌市出身。東海大札幌高から早大に進学した。23年世界ユニバーシティー冬季大会で優勝した。20年12月にW杯初出場を果たし、25年2月に初勝利を挙げた。世界選手権は21年から3大会連続出場。

 ◆葛西春香(かさい・はるか)2004年2月4日、札幌市出身。東海大札幌高から早大に進学した。22年世界ジュニア選手権で銀メダルを獲得した。W杯は通算10度表彰台に上がっている。23年世界選手権は女子個人ノーマルヒルで3位に入った。

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