山西利和 世界新!1時間16分10秒で堂々復活V 東京世界陸上出場も内定 驚異的ペースで進化証明「違う世界線に入れた」

 1時間16分10秒の世界新記録で優勝した山西利和
 世界選手権出場が内定し笑顔
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 「日本選手権20キロ競歩」(16日、六甲アイランド)

 9月に東京で行われる世界選手権の選考会を兼ねて行われ、男子は東京五輪銅の山西利和(29)=愛知製鋼=が、世界新記録の1時間16分10秒で優勝した。2位の丸尾知司(愛知製鋼)、3位の吉川絢斗(サンベルクス)とともに世界選手権の派遣設定記録1時間18分30秒を突破し、代表に内定した。女子は藤井菜々子(25)=エディオン=が1時間26分33秒の日本新記録で大会3連覇を達成した。

 山西が一年前のどん底から最高の復活を果たした。2015年に鈴木雄介が全日本競歩能美大会で記録した1時間16分36秒の世界記録を26秒更新。「違う世界線に入れたというか、そういう意味では良かった」と自身の進化をかみしめた。

 レースは序盤から驚異的なハイペースで進んだ。1周1キロを20周する周回コースで、最初の1周から3分46秒の世界記録を上回るペースも「前半は(動きが)ハマりきっていない感じ」と、本領を発揮したのは後半から。13キロ付近で同じ愛知製鋼所属の丸尾と2人で先頭に立つと「後半から狙えるなと思っていた」とペースを上げ、最後は一人旅で悠々とゴールテープを切った。

 昨年大会は歩型違反が重なりまさかの失格。代表選考会を兼ねたレースでパリ五輪を逃し、失意に暮れた。引退も頭によぎったが「一から作っていくイメージで」と奮起。東京五輪金のマッシモ・スタノ(イタリア)との合同練習を経て「自分の武器が分かってきた」と、ひと回り成長した。

 最大のライバルが不在だったことには複雑な思いがある。東京五輪で自身より一つ良い色の銀メダルを獲得した池田向希が14日、世界陸連の独立監視部門「AIU」によるドーピング違反認定で4年間の資格停止処分を科されたばかり。「(池田が)いたらもっと難しい展開になったと思う。そこのシビアさは残念ながらなかった」と寂しい胸の内を明かした。

 ただ、これで19、22年と2度制した世界選手権の舞台に戻る。「チャンスを得たので新しいトライとして優勝を狙いたい」と再び世界一の“ウォーカー”へ歩み出して行く。

 ◆山西 利和(やまにし・としかず)1996年2月15日、京都府出身。京都・堀川高で13年世界ユース選手権1万メートル競歩優勝。京都大工学部に進み、20キロで17年ユニバーシアードを制した。世界選手権は19年、22年と2大会連続優勝。21年東京五輪3位。19年度にデイリースポーツ制定「ホワイトベア・スポーツ賞」受賞。愛知製鋼所属。164センチ。

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