小林陵侑 今季初V 復調気配にあふれる笑みと充実感「うれしいっすね」世界選手権へ自信取り戻し「楽しみ」
「ノルディックスキー・ジャンプ男子W杯」(15日、大倉山ジャンプ競技場)
22年北京五輪ノーマルヒル金、ラージヒル銀の小林陵侑(28)=チームROY=が137メートル、136・5メートルの合計286・4点で今季初優勝を飾った。これまで5位が最高成績だったが、通算33勝目を挙げて復調気配を漂わせた。二階堂連(日本ビール)は9位、中村直幹(フライングラボラトリー)は10位に入った。
復調ののろしを上げた小林陵から、笑みと充実感があふれた。
「うれしいっすね。久しぶりの表彰台争いは、めちゃめちゃ緊張した。“足汗”かきましたわ」
試合直前の公式練習は「変な風で飛びたくない」と飛行のイメージが崩れることを避けてパス。迎えた1本目は、不利な追い風ながら飛距離をぐんぐん伸ばし、ヒルサイズと同じ137メートルのビッグジャンプを見せた。
2本目は1本目のアドバンテージを生かし、飛距離よりテレマークを重視。バチン!と板と雪が当たる音と同時に両手も大きく横に開く。完璧な着地で、飛型点は驚異の60点満点中58・5点。2位に約20点差をつける圧勝で、初勝利を飾った。
昨季は1位2回、2位10回で個人総合2位の好成績を残したが、今季はここまで最高5位、総合順位15位と苦しい時間が続いた。1月はW杯転戦中ながら札幌に戻り、練習に集中。助走姿勢の安定や、道具の見直しを計った。徐々に状態は上がり、チームから「あいつ札幌で勝つんじゃね」とうわさが立つほど。チームの予言を現実に変え、小林陵は「いい状態だったし、周りもそう思わせてくれた」と笑った。
連覇の懸かるミラノ・コルティナ冬季五輪開幕まで1年を切り、今月末には今季最大のターゲットに置く世界選手権(トロンヘイム)が始まる。「唯一取っていないタイトルなので楽しみ」。自信を取り戻した日本のエースが、ここからさらに状態を上げていく。





