新濱立也 無敗男撃破しV 練習が形に夫婦で五輪へ「諦めないで一番上まで戻ってやる」
「スピードスケート・W杯」(2日、米ミルウォーキー)
男子500メートルで新濱立也(28)=高崎健康福祉大職=が34秒14で優勝した。一昨年11月以来の勝利で、通算12勝目。この種目で今季6戦全勝だったジョーダン・ストルツ(米国)と同走し、0秒05差で競り勝った。森重航(オカモトグループ)は8位。団体追い抜きは女子の日本(高木、堀川、佐藤)が2分55秒82で2位となり、優勝はオランダ。男子の日本(一戸、土屋陸、佐々木)は3分43秒65の5位。米国が制した。
渾身(こんしん)のレースだった。男子500メートルの新濱は、この種目でW杯9連勝中だったストルツを0秒05差で振り切った。海外の大会では約3年ぶりの勝利。持ち前のダイナミックな滑りを発揮し「常に課題を改善しながら取り組んできたことが形になった」と胸を張った。
10組中8組目でストルツと同走。会場のリンクを練習拠点とする相手に声援が飛ぶ中、内側のレーンから鋭く飛び出した。100メートルを全体1位で通過。驚異的な伸びを誇る20歳の王者を抑えた。
昨年3月に練習中の転倒で腰椎を骨折。完全復活が見通せない時期に励みになったのは、妻でカーリング女子ロコ・ソラーレの吉田夕梨花だ。夫婦で1年後の五輪を目指す。「妻も頑張っている。諦めないで一番上まで戻ってやる」と念じ、再起への道を進んできた。
身長180センチ超と体格に恵まれた新濱も爆発力にあふれ、ストルツの台頭前は「怪物」と注目されていた。28歳のスプリンターは意地とともに改めて底知れぬ可能性を示し「大きな自信になった」。世界にインパクトを与え、今後への期待が膨らんだ。
◆新濱立也(しんはま・たつや)1996年7月11日、北海道野付郡出身。18年から主要国際大会に参戦し、19年3月、W杯最終戦の男子500メートルで日本勢初の33秒台をマーク。22年北京五輪代表。北海道・釧路商、高崎健康福祉大出。妻はカーリング「ロコ・ソラーレ」の吉田夕梨花。183センチ、91キロ。