北島康介杯での前代未聞トラブル、標識ポール誤設置→“慣れ”で確認作業なかった 大会委員長「油断だった」と不手際認める

北島康介杯での、標識設置トラブルの原因について説明した内田孝太郎大会委員長
規則により、壁から5メートルの位置に設置することが義務づけられている標識の旗(写真では青と水色の逆三角形)。選手はこの旗を見て壁との距離感をはかる
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 24日に東京アクアティクスセンターで行われた競泳の北島康介杯の女子400メートル個人メドレー決勝で、背泳ぎのターンのための標識が間違った位置に設置され、選手が距離を誤り壁にぶつかったトラブルを巡って、26日、内田孝太郎大会委員長が、トラブル後の経過と対応について説明し、「私たちの油断だった」と運営側の不手際を認めた。

 標識ポールの設置ミスの原因について、内田委員長は「このプールはターンサイド側の壁が移動することによって、短水路のプールに変換することが可能になっている。長水路時(50メートル時)の5メーターフラッグを立てるポールの穴と短水路時のポールの穴が複数ありまして、通常長水路用のところにつけなきゃいけなかったものを誤って短水路用の違うところにつけてしまった」と説明。競技役員も当然、故意ではなかったが、この勘違いにより実際の5メートル位置より手前側に標識が設置されてしまい、選手の壁との距離感覚にズレが生じてしまった。

 レース開始後、一部の選手は最初のバタフライで違和感に気付き、激突を回避したが、ほとんどの選手は壁にぶつかった。レース後、運営側の呼びかけで2人が病院に向かった。軽い打撲などのケガを負った選手もいたが「大きな異常はないという診断をいただいた」とした。

 ただ、そもそもポール設置後に確認作業は行われていたのか。そう問われた内田委員長は「正直申し挙げて…」と切り出し、長年の“慣れ”から確認作業がなかったことを明かした。

 「ポールの穴がこれまで長く使って来た辰巳国際水泳場は一カ所しかなかったので。間違うことがありえなかったんですよ。本当に。ただ、それが今回複数箇所になり間違う可能性があったんですけど、長らく(ポールを)立てた後に距離の確認をするという作業がなかったものですから。私たちの油断だったんだと思います」

 パリ五輪代表の谷口卓(GSTR_GP)、本多灯(イトマン東進)ら、国内トップ選手が出場する大会で前代未聞ともいえるトラブル。同委員長は「選手のがんばりを無にしてしまった。大変あってはならないこと。われわれも二度とこのような事故が起こらないようにしっかりと運営に努めて参りたい。改めて、選手、関係者の皆さまにおわびを申し挙げたい。誠に申し訳ありませんでした」と謝罪した。

 同会場で取材に応じた大会会長の北島康介氏も「ご心配とご迷惑をおかけしました」と謝罪。選手、関係者との協議の結果、この日の全レース終了後に再レースが行われる。ただ、日程の都合などから10人中2人が棄権し、8人が出場するという。

 24日に取材に応じた粟井崇紀審判長は、規則で壁から5メートルの位置に設置が義務づけられている標識の旗が、5メートルに満たない場所にあったと説明。支柱を立てるための穴に似たものがあり、間違えたという。該当レースでは全員が最後まで泳ぎ切ったものの、複数の選手が首や腕の痛みを訴えていた。レースは不成立となり、選手の状態によって再レースを実施するか、判断に迫られていた。

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