ラグビー元日本代表でＷ杯に３大会連続で出場し、１９年Ｗ杯日本大会では初の８強入りに貢献したＳＨ田中史朗（３９）＝ＮＥＣグリーンロケッツ東葛＝が２４日、都内で会見を開き、今季限りでの現役引退を発表した。

　田中は「今シーズンをもちまして、現役を引退することを決めました。１７年間という長い現役生活でしたが、最高に幸せな期間でした。この小さな体でプレーできたこと、Ｗ杯に出て新しい日本の歴史を築けたことは私の誇りです」と目に涙を浮かべ、時折言葉を詰まらせながら語った。

　会見後のフォトセッション時にはＷ杯でともに戦った日本代表の後輩、松島幸太朗と松田力也がサプライズで登場。すると、田中の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。「びっくりしました。来てくれてうれしく思います。さっきまで泣かんかったのに」と言いながら、涙をぬぐった。

　松島からは「自分がジャパンに入った時からお世話になっています。最後にこうやって華やかに終わることができたいいなと思います」とねぎらわれ、松田からは「高校から見ている選手で僕のあこがれでもあった。同じチームでのプレーしたし、プライベートでもすごく可愛がってもらった。この場に来られてうれしく思います。ラグビー以外のところもたくさん学ぶところもありました。この涙を近くで一番最後に見られてよかった」と言葉をかけられた。

　花束などを受け取った田中は「本当に若い頃から日本ラグビーを引っ張ってくれた２人なので。今のパフォーマンスを見ても世界のトップクラスのプレーヤーなので安心しています。これからリーダーシップを持って日本ラグビーを引っ張っていってくれたらうれしいなと思う。最後に個々で会えたことが本当にうれしい」と未来を託した。

　田中は０７年に三洋電機（現埼玉パナソニック）入りし、１３年からはハイランダーズの一員としてスーパーラグビーで日本人初のプレー。日本代表通算７５キャップと、長年にわたり第一線で活躍した。１６６センチと小柄ながら、巨漢選手にも果敢にタックルする勇敢さを持ち、判断力やパス能力でも優れた。