部員4人逮捕の同大アメフト 2部初戦で勝利「全部奪われた虚無状態」からボランティア活動で心をひとつに

 自動降格した2部リーグ初戦で大体大相手にランで攻め込む同大
 自動降格した2部リーグ初戦で後半キックオフに臨む同大
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 「関西学生アメフト、同大35-6大体大」(9日、王子スタジアム)

 昨年9月に部員4人が準強制性交の疑いで逮捕された同大が、降格した2部リーグの1位として今季初戦に臨み、35-6で昨季8位の大体大を下した。昨季リーグ戦は事件後にすべて辞退し、自動降格していた。試合は第2QにWR加賀東雅(4年)が先制TD。計5TDで勝利した。

 昨季から指導する橋詰功ヘッドコーチ(HD)は、後半に相手が戦力不足に陥った中での結果に「まだまだ。危ないものでした」と振り返った。昨年9月に事件が発覚し、12月に部の活動を再開したが、防具をつけて競技を本格的に再開したのは今年4月。冬場はトレーニングに専念していたため、「フットボールはあまりうまくない」と技術面には課題を抱えているという。

 試合後のハドルでは、主将のDB泉勇太朗(4年)が「あれから1年や。まだまだちゃうか?目指しているのは日本一やぞ!」とゲキ。現実的には1部昇格を目指す立場だが「日本一の組織をつくる。その過程に1部昇格がある」と泉は言い切った。

 逮捕、起訴された4選手はすべて昨年の4年生で退部した。事件後は「全部奪われて虚無状態だった」と泉。しかし、1、2学年の上の歴代主将から「この組織を変えてほしい。諦めずに前を向いてやってほしい」と言われ、「気持ちが動かされた」と主将に立候補した。

 チーム幹部で決めた、通学路の見守りなどのボランティア活動は、当初「下級生は何の意味があるの、という顔をしていた」という。しかし、地域住人から感謝の言葉を伝えられるにつれ「地域とのつながりの中で活動ができていると思った」と言い、下級生も「やってよかった」と心はひとつになった。

 橋詰HDは、日大の悪質タックル問題後に監督としてチーム再建に尽力した経験がある。同大のリスタートも「急ではないが、一歩一歩間違いなく進んでいる」と手応えを口にした。「彼らの力をもっと信じて、伸びてほしいと思っている」

 部員は今も、毎日ボランティア活動を行っている。「人間性によって成長の幅が広がり、(アメフトの)力も伸ばせる」と泉。ようやくつかんだ勝利を手に、笑顔で「日本一」への道を歩み始めた。

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