レスリング 東京五輪女王の志土地真優、パリ五輪絶望的で涙 初対戦の19歳・藤波朱理に完敗で脱帽「相手が強かった」
「レスリング・明治杯全日本選抜選手権」(16日、東京体育館)
世界選手権(9月、ベオグラード)代表選考会を兼ねて行われた。女子53キロ級準々決勝で、東京五輪金メダルの志土地真優(旧姓向田、25)=ジェイテクト=が、21年世界女王の藤波朱理(19)=日体大=と初対戦し、5分37秒フォール負け。パリ五輪代表入りは絶望的となり涙しつつも「相手が強かった」「願いが叶って対戦できて良かった」と相手をたたえた。
2回戦(準々決勝)で早くも実現した19歳の怪物との初対戦。第1ピリオドは2点を先制されたものの、志土地もすぐに電光石火のがぶり返しから2点を取り返すなど2-3で折り返した。第2ピリオドもタックルを狙おうとしたが、リーチを生かした相手の防御に阻まれ、逆にグラウンドに持ち込まれて最後はフォールで力尽きた。「私もすごく練習してきたので、自分から思い切っていけた。技術は向こうの方が上回ったが、気持ち的には負けなかった」と胸を張りつつ、「相手はそれ以上に強かった」と脱帽した。
志土地が東京五輪で金メダルを取った直後、藤波が同階級で世界女王に輝き、今大会前までに119連勝を飾るなど台頭してきた。これまで対戦機会はなかったが、「絶対に今回藤波選手とやりたかった」と五輪女王。組み合わせ抽選では、同じブロックに入れるように祈りながら自らクジを引き、念願叶って早期対戦を決めた。「パリに向けてレスリングを続けた理由も藤波選手がいたから。(東京五輪後は)正直モチベーションもそこまで維持できなかった。存在が頑張るモチベーションになった」と明かし、「負けて悔しいが、すごく強かった。東京五輪予選を経験してきた自信を持って戦ったが、相手も五輪に行きたい気持ちが試合ですごく伝わってきた」とすがすがしく汗を拭った。
自身は昨年12月の全日本選手権に続いて優勝を逃し、自力での五輪切符獲得は消滅。夫の志土地翔大コーチからは「ここまでよく頑張った」と労われたといい、「自分の中でも力は出しきった。東京五輪後も休まず、よく頑張ったかなと思う」とうなずいた。今後については「パリ五輪はすごく厳しい状況になったので、すぐに切り替えられるかわからないが、1回休んで、コーチと相談して考えたい」と話すにとどめた。




