高橋大輔「右膝が限界」で引退決断も「スケートを軸にエンターテインメントに携わりたい」

 フィギュアスケート・アイスダンスの村元哉中(30)、高橋大輔(37)組=関大KFSC=が2日、都内で現役引退会見を開いた。2人は1日にチームのインスタグラムで現役引退を報告していた。高橋は2014年に競技生活から退き、復帰後の20年にアイスダンスに転向。結成3季目の“かなだい”ペアは、3月の世界選手権で日本最高タイの11位になるなど活躍。多くの人々にアイスダンスの魅力を伝えたカップルが節目の時を迎えた。

 引退発表の場としては異例の囲み形式。会見にしなかったのは「フランクに」「いつも通りに」という2人の希望をかなえるためだった。45社97人の報道陣に近い距離で見守られ、スーツ姿で登場。晴れ晴れとした表情が、新たな門出に良く似合った。

 これまで何度も聞かれた進退。熟考する姿勢を見せていたが、心の内では決まっていた。2人は種明かしをするように、2月の四大陸選手権後、高橋が声をかける形で引退を決めたと説明した。

 「大きな要因は、僕自身の右膝が限界を感じた」。高橋がシングル時代に手術した古傷は37歳の今、悲鳴を上げている。アイスダンスはしゃがんで膝をつくなど、膝を酷使する動きがシングルより増える。練習すら予定通りにこなせない時もあり、村元が「歩けないこともあった。膝を貸してあげたいぐらいだった」と明かしたほどだった。

 結成3季目で、ついにその時がきた。高橋は「どうしようもない所まで来てしまった。体がついていかない」と競技会と別れる決断をした。今後は“かなだい”カップルとしても個人でも活動する。「スケートを軸にエンターテインメントに携わっていきたい」と表現者としての道は続く。

 引退会見を行うのは二度目。最初は14年ソチ五輪で6位になり、世界選手権を欠場した後だった。「すっきりしない」と、どこか心残りがあったが「二度目はすっきりしている」。戻ってきた勝負の銀盤でアイスダンサーとして世界と戦い、競技の普及に貢献した。「もう十分やりきった」。今度は思い残すことはない。

 取材の最後。高橋はチャレンジを続けた人生を振り返りつつ「“ジェットコースター”にまだまだ乗って頂けたらうれしい」と楽しげに報道陣を見渡した。スケートを愛するエンターテイナーは、何度人生の節目を迎えても輝き続ける。

 ◆高橋大輔(たかはし・だいすけ)1986年3月16日、岡山県倉敷市出身。8歳でスケートを始め、岡山・倉敷翠松高時代の02年世界ジュニア選手権で日本男子初の優勝。関大に進み、06年トリノ五輪8位入賞。10年バンクーバー五輪で日本男子初の表彰台となる銅メダルを獲得した。同年の世界選手権で日本男子として初優勝。14年ソチ五輪6位。同年10月に引退。18年7月に現役復帰。20年にアイスダンスに転向した。22年12月の日本選手権で転向後初優勝。23年世界選手権で日本勢最高に並ぶ11位。165センチ。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

スポーツ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(スポーツ)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス