元横綱白鵬 親方として「横綱」目指す “最後の相手”は長男-額をつけて土俵に別れ

 断髪式を終えて、土俵の土に額を付けて引き揚げた宮城野親方(元横綱白鵬)(代表撮影)
 三女・真結羽ちゃんからねぎらいのお手紙をもらう宮城野親方(元横綱白鵬)
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 大相撲で歴代最多45度の優勝を誇り、2021年秋場所後に現役を引退した元横綱白鵬の宮城野親方(37)の引退相撲が28日、東京・両国国技館で開催され、満員の観衆を前に最後の横綱土俵入りを披露した。長男と最後の相撲を取り、断髪式では涙を拭う姿も。サイドを刈り上げた新たな髪形となった親方は、横綱・大関を育てて角界に恩返しすることを誓った。

 不滅の金字塔をうち立てた大横綱が、涙でまげに別れを告げた。場内から「白鵬!」の声が飛ぶ中、師匠の間垣親方(元幕内竹葉山)に止めばさみを入れられると、宮城野親方は目をつぶって静かにうなずいた。こぼれる涙を拭って立ち上がり、深々と頭を下げた。

 ハサミを入れられる度に、脳裏をよぎるさまざまな思い出。「一つ一つ思い出して、気持ちの整理がつかない。初めてだし、大変でした」。圧倒的な強さを誇った土俵の上で、感傷をおさえきれなかった。

 “最後の相撲”は、中学2年生の長男・真羽人さんと取った。何度もぶつかってくる愛息を真正面から受け止め、最後は押し出された。「この思い出を胸に、学び続けて一生懸命やってもらえれば」。父として、体を張ってあるべき姿を示した。三女の真結羽ちゃんには「もうまげがないから、私がお父さまの頭をいっぱいなでなでしてあげます」と手紙を読まれ、優しい笑み。「感動しました」と相好を崩した。

 最後の土俵入りでは、太刀持ちに大関貴景勝、露払いに関脇豊昇龍を指名した。理由は「初場所で優勝した力士」と「モンゴルで一番期待の若手」。これからの角界を担ってほしいというメッセージを託した。貴景勝は「光栄です」としっかりバトンを受け取った。

 整髪を終えた宮城野親方は、サイドを短く刈り上げて前髪を上げたニューヘアもお披露目。「どこかに体の一部がなくなったという寂しさはある」としながらも「100点満点」と笑顔を見せた。

 昨年7月に部屋を継承。初場所後には落合の新十両昇進が決まり、師匠として初の関取誕生となった。ただ、目標はまだまだ先にある。断髪式の後、土俵に額をつけた。「一日も早く横綱、大関を作って土俵に帰って来るという感謝の気持ち。また別の土俵の戦いが始まる。親方として、また横綱を目指していかなきゃいけない」。自身の系譜を継ぐ横綱を育てることが責務。第2の相撲人生でも頂点に向かって精進を続ける。

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