坂本花織“今季世界最高得点”で連覇「今までで一番気持ちよく滑れた」世界切符一番乗り
「フィギュアスケート・全日本選手権」(24日、東和薬品ラクタブドーム)
来年3月の世界選手権(さいたま市)代表選考会を兼ねて行われた。ショートプログラム(SP)1位で世界女王の坂本花織(22)=シスメックス=が2年連続3度目の優勝を果たした。フリー155・26点、合計233・05点とぶっちぎり。非公認ながら今季最高得点をマークして、世界選手権切符を獲得した。
坂本は左手人さし指を突き上げ、No.1を確信して得点を待った。“今季世界最高得点”が表示されると、大きく目を見開き、あんぐりと口を開けて固まった。「おーおおお!」。両手で顔を抑え、涙目で「良かった」と感極まった。
ほどよい緊張感だった。「SPより落ち着いていた」。冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)は出来栄え点で1・65点と満点の加点がついた。3回転ルッツなど全てジャンプも着氷。演技構成点は3項目全て9点台をそろえた。
フィニッシュ後の表情はなかった。「いつもみたいにガッツポーズできる余裕はなかった」。死力を尽くした結果だった。「今までで一番気持ちよく滑れた」とうなずいた。
2週間前のGPファイナルで総合5位になってから中1週間での試合。ハードスケジュールだったが、帰国後は1日しか休まず、その後は毎日走り込んだ。呼吸器官を強化し、今季課題だった演技後半の疲れを克服。「この1週間頑張って追い込んで良かった」と感慨深げに話せば、中野園子コーチも、「心を入れ替えてかなり頑張りました」と目を細めた。
日本女子エースとして、一番乗りで世界切符も獲得した。2連覇がかかる大舞台へ、「最高の世界選手権を迎えられるようにしたい」と、トレードマークの笑顔が咲いた。
◆坂本花織(さかもと・かおり)2000年4月9日、神戸市出身。4歳でスケートを始めた。神戸野田高を経て、現在は神戸学院大経営学部4年。16年全日本ジュニア選手権で初優勝し、17年世界ジュニア選手権で銅メダル。シニアデビューの17年に全日本選手権で2位に入り、18年平昌五輪で6位入賞した。18年四大陸選手権を制し、同年全日本選手権で初優勝。22年北京五輪で銅メダルを獲得し、同年の世界選手権を初制覇した。159センチ。




