桐生祥秀の単独インタビュー 病気公表に「まだ現役やめてないのが大事」

 陸上男子100メートルで9秒98の元日本記録保持者、桐生祥秀(26)=日本生命=が25日、滋賀県の立命館守山高で「カラダを動かす。ココロが羽ばたく。アシックスアスリートスペシャルレッスン」の第1弾として、高校生に陸上教室を行った。6月から長期休養しており、9月末に難病の潰瘍性(かいようせい)大腸炎を患っていたことを公表。この日、4カ月ぶり本格的な再始動となった。イベント後にはデイリースポーツの単独取材に応じた。

   ◇      ◇

 -9秒台のプレッシャーは?

 「(期待される期間が)長かった。時間が長かったり、10秒01を出した時が、東京オリンピックの招致が決まった年なんですよ。そこからオリンピックまでの道っていうのがずっと続いてた。その時の試合の結果とか、全部『東京オリンピックへどうですか?』っていうのが(取材の)最後の締めの言葉であったから、そっちばっかり(人々の興味が)いってたのもありますね」

 -期待されることについては?

 「期待はないと逆に寂しいです。元々表に出たいから、こうやって出ている。どうせだったら有名になりたい、とかからスタートしている。『ないものねだり』じゃないですけど、これはないからこれがほしいとか、これがなくなったら逆に寂しくなる、とか絶対あると思うんです」

 -休養期間に16年リオ五輪のリレーメンバーからアドバイスをもらった。

 「具体的にはリアルになっちゃうので言えないんですけど。ああいうメンバーとか、他の一緒に代表走ったメンバー、同級生とかはあの機会だからこそしゃべれました。シーズン中に飯に行ってても、なかなか踏み込んだところまではしゃべれない。そうやって完全に試合に出ないから聞ける部分もありました」

 -病気を公表したが。

 「引退の時に(公表を)やったら『陸上生活つらかった』って思っちゃう人もいると思う。このタイミング、まだ現役をやめてない(時期に公表した)のが大事。ここから先色んなことがあると思うんで、そういった時に『ああいうのがあったけど楽しかったね』という陸上生活を終えたら、丸く収まるじゃないですけど、こういうのをやったねって言える」

 -休養期間を経て感じたことは?

 「がっつり3(4)カ月何もしないことは初めてだった。最初は何しようかな、からだらだらが慣れてきたら、それはそれで楽しかったり。本当に陸上から離れた生活をしてた。(病気を公表して)同じような悩みで悩んでる人、意外に同じ病気の人がSNSのコメント欄でたくさんいた。その人の代表になるわけじゃないですけど、でも同じように悩んでいることがあれば、相談とかも将来できたらいいなと思いますね」

 -今後の人生設計とは?

 「陸上教室とかジムを作ったり、やりたいなっていうのはあるけど、それをどのタイミングで実現しようかと。色んなことをやりながら。そういうのをやりながら引退するんだろうなと思いますね」

 -現役引退はどんな感情で迎えると思うのか?

 「どっちなんですかね。それはもうやってみないと分からないです。ボロボロで引退するのも全然悪いなと思わないし、そこの前後じゃないと分からないかな。足が速かったら、それこそ9秒とかで40歳でできたらやってるかもしれないし。かといって10秒20しか出なくなったらやめるかも。まだ分からない」

 -陸上男子100メートルでは9秒台の選手が他にも出てきて盛り上がっているが。

 「盛り上がってますか?ちょっとずつ下がってきてるのもあったりする。東京オリンピックって選手からも大事だけど、記者さんからもすごく大事ですよね。東京オリンピックだから取材に行けたり、終わったからスポンサーの感じもあったり、なかなか難しい時期がこれからもっと来ると思う。そう思うと、やれることって速く走るだけじゃなくて、色んなことが大事なのかなと思いますね」

 -今後については。

 「今後は試合も何も決まってない。いつもだったら織田記念やって、とか、そういうのも今年まだ今のところ全然決めてないので、決まったらまた改めてしゃべりたい」

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