照ノ富士時代が豪快に幕開け 白鵬引退後初の場所で白星発進、名実ともに一人横綱

 「大相撲九州場所・初日」(14日、福岡国際センター)

 史上5人目の新横綱から2場所連続優勝を目指す照ノ富士(29)=伊勢ケ浜=が新小結霧馬山を小股すくいで倒し白星発進した。元横綱白鵬(現間垣親方)が引退し、名実とも一人横綱の“照時代”が豪快に幕開け。2年ぶり開催の九州でV6を果たし最強の1年を締める。両大関は貴景勝が若隆景を突き落として退けたが、正代は大栄翔に押し倒され黒星スタートとなった。

 花道で見守る間垣親方に照ノ富士が堂々の横綱相撲で応えた。霧馬山にもろ差しを許したが動じない。圧力をかけ、左で下手を取ると豪快に振り回した。最後は右で小股をすくって体ごと圧殺した。

 成長一途のモンゴル後輩を28秒9でじっくり料理。「すべて思い通りにはいかない。その中で白星を一つでも多く積んでいく」と自信をみなぎらせた。

 2年ぶり開催の九州で相撲を待ち望んだファンも拍手喝采。「一生懸命、土俵の上でいい相撲を取って九州の皆さんを喜ばしたい」と責任感があふれた。

 14年も横綱に君臨した白鵬最後の取組は名古屋場所千秋楽。全勝決戦で照ノ富士は敗れた。最後まで壁になった偉大な先輩からはバトンを託された。

 「最後に勝って恩返ししたい気持ちで臨んで、できなかった。これから自分が責任を持って頑張りたい」と自身が“王道”を継ぎ新時代を率いる決意だ。

 親方初仕事で館内警備を務めた間垣親方も後輩に全幅の信頼。「自分の場合は一番本場所で緊張したのは大関陣が全員、負けて(V争いが)自分一人になった時、これが一人横綱のプレッシャーだと思った。それを乗り越えて経験を積んでいけば流れに乗っていく」とエールを送った。

 序二段まで降下した元大関が奇跡の復活を遂げた21年。すでに初の年間最多勝も決まっている。新横綱から2場所連続Vなら1961年九州、62年初場所の大鵬以来。約60年ぶり史上5人目の偉業だ。「土俵に上がったら一生懸命やるだけ。最後まで頑張っていきたい」と揺るがぬ不動心。V6で無敵の1年を締める。

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