退任の井上康生監督、柔道男子再建も警鐘 東京五輪全てと思えば「また厳しい戦い」

 任期満了により今月限りで退任する柔道男子日本代表の井上康生監督(43)が30日、オンラインで会見を行い、9年間の監督生活を終えて「失敗、挫折も含めて貴重な経験だった」と振り返った。東京五輪では日本男子史上最多の金メダル5個の好成績を収めたが、「東京五輪の経験が全てだと思っていたら、また厳しい戦いが待っていると思う」と24年パリ五輪以降の強化に向けて気を引き締めることも忘れなかった。

 井上監督は、日本男子が史上初の金メダル0個に終わった12年ロンドン五輪後、再建を託される形で34歳の若さで就任。16年リオデジャネイロ五輪では金2個を含む全7階級でメダルを獲得し、今夏の東京五輪では金メダル5個と発祥国の威信を取り戻した。一方で、最重要課題に位置づけていた100キロ超級の金メダルは在任期間中に達成することができなかった。

 今後は男子の強化副委員長という立場で携わることになるが、「我々がいい環境をいかにつくっていけるか、よりアップデートさせていくことが大事」と井上氏。「東京五輪の経験が全てだと思っていたら、また厳しい戦いが待っていると思う」と、自国大会での成功体験にとどまってしまうと足をすくわれると警鐘を鳴らし、「他国開催で、社会的背景が変われば環境も変わる。それを頭に入れて強化していかないといけない。皆さんの力を借りながら、より一層高い志を持ってやっていければ」と力を込めた。

 また、後任の鈴木桂治新監督(41)は「井上監督体制を継承する」と現強化体制を踏襲する考えを示しているが、「何よりの評価」と頭を下げた井上氏。その上で「鈴木先生は私にはできないたくさんの力持っている。役立つことがあれば(井上体制での知見を)活用していただきたいのと、鈴木カラーを前面に出してもらいたい。彼自身は度胸もあり、先見の明もあり、色んなアイデアや切り開いていく力がある方。楽しみにしたい」とエールを送った。

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