58歳の“鉄人”伊藤智也が意地の自己ベスト クラス変更の壁、予選敗退 パラ陸上

 2組6着でゴールする伊藤智也。決勝進出はならなかった=国立競技場
 力走する伊藤智也=国立競技場
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 「東京パラリンピック・陸上男子400メートル(車いすT53)予選」(29日、国立競技場)

 58歳の“鉄人”伊藤智也(バイエル薬品)が57秒16の自己ベストを出したが、予選2組完走者最下位の6位で敗退となった。

 「57秒?ダメだこりゃ」。中継局のインタビューで息を切らせながら答えた。

 「ビリになることは分かって出たものの、今までの習性ですから。人が前にいるのを“絶対追ったる”とバックストレートで追ったら、ホームストレートで死んでしまいました」

 伊藤は大会直前に行われた国際クラス分けで、障害が一つ軽いクラスに変更された。元のT52では08年北京大会では2種目で金メダル、12年ロンドン大会では3種目で銀メダル獲得してきただけに、「相当ショック」と話していた。今大会もT52では銅メダルに相当するタイムだった。

 「4大会目になりますけど、こんなに自分の走りということに関して多くの人に関わって頂いたり、この大会に出場できることを祝福してもらったのは初めて。ただクラス分けが53に決まった時に走れないんじゃないかという不安が大きかった。スタートラインに立てて、思っていたタイムと全然違いますけどフィニッシュラインを越えることができて良かったと思います」とゴールしての心境を明かした。

 「5年間本当に一人で戦ってこなかったという実感、マシンを全力で製造開発してくださったエンジニアのみなさん、こんなじじいでもうちのチームで走れと言ってくれた所属先、応援してくれたみんなの気持ちがうれしくて、スタートラインには“絶対勝ったる”、と思って立ちました」と周囲への感謝の気持ちを語り、大会に向かう5年間を振り返った。

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