東京五輪まであと100日 コロナ感染抑制の成功例示せなければ光は見えてこない

 1年の延期を経て、57年ぶりに東京の地に帰ってくる夢舞台、東京五輪まで14日であと100日となった。先月25日からは47都道府県を巡る聖火リレーもスタート。13日は大阪府吹田市にある万博記念公園の代替コースで実施された。ただ新型コロナウイルスの再拡大が続く中、国内外で開催を危ぶむ声は根強い。機運が高まらない状況が続き、アスリートたちも厳しい立場に立たされている。100日後、祭典は無事に開催されるのか。五輪担当キャップの大上謙吾記者が諸課題に迫った。

 区切りの数字を迎えても、これまでのような高揚感はなかなか生まれてこない。代表選考はここから大詰めを迎え、本番への機運が最も高まる時。ただ、今回に関しては、どこかで一歩引いた視点で見ていなければ、という引っ掛かりがある。

 果たして東京五輪は開催できるのかどうか-。現状、現場の肌感覚でいえば、観客上限50%、いくつかの不出場国があったとしても、ほぼ“バブル”に近い状態にして開催か。スポーツから離れた政治的、経済的な思惑が絡む中で、リスクをはらむことは分かっていながらも、決定的な何かでも起こらない限り、国、都、組織委、IOC、どこも中止や延期の決断はしない、いやできないとみる。

 開催されれば、多くのトラブルや問題が起こる可能性は高い。ただ、同時に先日の池江璃花子や松山英樹が示してくれたように、スポーツの力、アスリートたちの活躍により、盛り上がることも間違いないと思う。だから、せめて、ここからは多くの人たちに応援される中で、大会が始まってほしいと願う。

 最新の世論調査でも中止、再延期という今夏の開催に否定的な声は7割を占める。海外観客断念を決め、どれだけ大会側が「安全安心」を主張しても、なかなか理解は得られていない。「納得は安心を連れてくる」-某自動車保険のCMフレーズだが、納得できる材料を示せていないことが最大の要因。国内でいえば、感染拡大に歯止めがかからず、全国で第4波への懸念が渦巻く。ワクチンの普及も遅れており、海外から多くの選手、関係者が来ることへの“恐怖心”を拭えていない。

 海外選手を招いてのテスト大会は中止や延期が相次いでおり、海外メディアからもいまだ五輪開催への悲観論は根強い。必要とされているのは、IOCのバッハ会長の言う“トンネルの先の光”という希望論ではなく、ここまで感染を抑えれば、こうすれば開催できるという具体的な数字であり、対策であり、成功例だろう。

 今、選手たちの東京五輪に向けた言葉には、前置きが入る。「もし開催されるなら」。選手もまた一歩引いた視点を持たなければ、気持ちを保てない状況が続く。ただ、あと100日。さすがにもう、そう言わせてはいけない時期にきている。

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