羽生結弦、王座奪還へ コーチ不在…4回転半導入見送り…苦しい日々乗り越えSP首位

 羽生結弦
 男子SPで首位の羽生結弦(タス=共同)
 演技を終え得点を待つ羽生結弦(AP=共同)
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 「フィギュアスケート・世界選手権」(25日、ストックホルム)

 男子ショートプログラムは、4年ぶりの王座奪還を目指す羽生結弦(26)=ANA=が106・98点で首位発進した。初出場の鍵山優真(17)=神奈川・星槎国際高横浜=は自己ベストの100・96点で2位。2連覇中のネーサン・チェン(米国)は冒頭の4回転ルッツで転倒し、98・85点で3位となった。平昌五輪銀メダルの宇野昌磨(23)=トヨタ自動車=は92・62点で6位につけた。男子フリーは27日に行われる。

 激しいロックミュージックが無観客のアリーナに響く。「本当は会場で一体となって手拍子や歓声が聞こえると、もっとよいプログラムになるかもしれないけど。インターネットやテレビ、どんなところからでも、見ている方の歓声や気持ちを受け取りながら滑っているつもりです」。演技を終えた羽生の心には、きっと割れんばかりの大声援が届いていたことだろう。

 冒頭の4回転サルコーをはじめ、全てのジャンプを着氷。全日本選手権では規定を満たせず0点となったスピンも、加点を得る完成度へと進化させた。

 2021年を迎えて以降も練習拠点のカナダ・トロントに戻れず、コーチ不在での練習が続いた。「調子の波」に心は沈んだ。「なんとかはいつくばってやってきた」と羽生。もがきながら、スケートと向き合い続けた。

 その中、今大会へ向け「力を入れてやっていた」というのが、夢のクワッドアクセル(4回転半)だ。「かなりギリギリまで粘って練習した」と言うが、出発の3日ほど前に導入見送りを決断。「ちょっと残念な気持ち」と明かした。

 こだわり続けている夢の大技への挑戦から大会へ、しっかりと思いを切り替え圧巻の首位発進。2連覇中のチェンに8・13点差をつけた。「苦しかった日々があったからこその今日の出来」と充実感をにじませた。

 コロナ禍での大会開催。演技を通して世界へ何かを届けたい思いはもちろんある。ただ、それ以上に「最終的に僕自身がここで滑った意味を感じられる演技を目指して頑張りたい」と羽生。ぜんそくを抱える自身の感染リスクは誰より承知している。葛藤を超えて海を渡ったことが、実りある行動だったと誰より羽生自身が思えるように。フリー「天と地と」に魂を注ぎ込む。

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