侮辱ブタ演出案の五輪式典統括が辞任 森前会長に続きまた舌禍…海外でも報道

 佐々木宏氏
 記者会見を終え退席する橋本聖子会長(右)と武藤敏郎事務総長(代表撮影)
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 東京五輪・パラリンピック式典演出の責任者であるクリエーティブディレクターの佐々木宏総合統括(66)が五輪開会式で女性タレントの渡辺直美(33)をブタに例える侮辱演出を提案していた問題で、大会組織委員会の橋本聖子会長(56)と武藤敏郎事務総長(77)が18日、都内で会見を開き、謝罪と佐々木氏の辞任を発表した。後任は未定で現チームを中心に佐々木氏のプランを踏襲し、演出を固める方針。女性蔑視問題で引責辞任した森喜朗前会長に続く“舌禍”で、開催支持低迷にあえぐ大会に追い打ちをかける事態となった。

 あといくつ不祥事を乗り越えれば、夢舞台にたどりつくのか。女性蔑視発言で引責辞任した森前会長に続き、今度は式典責任者が侮辱演出案で辞任。前日の「文春オンライン」による報道後、佐々木氏から事情説明を受けた橋本会長は「大変ショック。容姿を笑いものにする発言は、絶対にあってはならない」と話し、陳謝した。

 佐々木氏は18日未明に組織委を通じて、「大失言で、取り返しのつかない。本当に申し訳ない気持ち」と謝罪文を発表し、事実関係を認め、辞意を表明。橋本会長は「式典成功へ重要な存在」として慰留も検討したが、受託したという。

 問題は海外の主要メディアにも報じられ、波紋が広がっている。米ウォール・ストリート・ジャーナル紙は「五輪関係者が女性にブタに扮(ふん)する提案で辞任」と題し、「性差別的な発言による組織委会長の辞任に続き、大会4カ月前に不確実性を追加した」と、論じた。ブルームバーグも「国民の支持が低い五輪への、もう一つの打撃」とし「主催者にとって、頭痛の種になる」と指摘した。

 コロナ禍で国民の開催への支持が低迷する中、25日からは聖火リレーがスタート。機運醸成の正念場で、要人の“舌禍”が再び開催への深刻なダメージとなる可能性がある。

 また、問題の裏には、演出チーム内の内紛も透けてみえる。「文春オンライン」では、当初五輪開会式プランをまとめる中心だった振付師のMIKIKOさんが、佐々木氏に辞任に追い込まれた流れも報じられた。組織委は20年12月に延期とコロナ禍による簡素化を理由に、狂言師の野村萬斎に代わり、パラリンピック担当だった佐々木氏を総合統括に就任させた。これに伴い、MIKIKOさんを含めた野村らの演出チームは解散。MIKIKOさんの辞任は、公表されていなかった。武藤事務総長は「(辞任理由の公表は)プライバシーに関わる。申し上げる立場にない」と言葉を濁した。

 不穏な火種がくすぶる中、時間だけが過ぎていく。

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