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大栄翔、悲願の初V 女手一つで育てた母へ恩返し「親孝行できた」

 「大相撲初場所・千秋楽」(24日、両国国技館)

 平幕大栄翔(27)=追手風=が隠岐の海を突き出して自己最多13勝(2敗)を挙げ、プロ入り54場所、10年目で初の優勝を果たした。埼玉県出身では現在の優勝制度が確立した1909年夏場所以降では初Vで、それ以前を含めれば大関3代柏戸宗五郎が1809年10月、ライバル雷電と両者優勝して以来212年ぶり快挙。33人目の平幕V、追手風部屋に23年目で初の賜杯をもたらした。三賞も殊勲&技能W受賞した。母子家庭で育ち、母・高西恵美子さんに最高の親孝行。次なる目標は213年ぶりの埼玉出身大関だ。

 万雷の拍手の中、大栄翔の実直さがにじんだ。優勝インタビューで賜杯の感触に「あんなに重いとはビックリ」と笑み。涙はなく、「本当にうれしい」と、何度も繰り返した。

 勝てば優勝の重圧をはねのけ攻め抜いた。頭から当たって怒とうの突き。前半戦、3大関を含む三役7人を総なめにした破壊力で電車道。Vの瞬間、緊張を解き放つように「ふーっ」と息を吐いた。

 埼玉勢では優勝制度開始の1909年以降初の賜杯。それ以前では現在の草加市出身で3代柏戸宗五郎以来212年ぶり。朝霞市出身で高校は埼玉栄、部屋は草加市と27年間ずっと生粋の埼玉っ子が大仕事をやった。「夢のようにうれしい。うれしいという言葉では表せない」と、かみしめた。

 師匠の追手風親方(元幕内大翔山)が1998年に独立後、23年かけ部屋に初賜杯。「優勝と横綱、大関を作りたいというのは夢」。まな弟子が夢をまず一つかなえてくれた。

 もともとは四つ相撲だった大栄翔。師匠は入門後すぐに突き押しの才能を見抜いた。「トップギアからいきなりバックに入れると普通、車は壊れる。大栄翔はそれができる特別な車」と例えた。

 急加速の立ち合い、急カーブのいなし、バックギアの引き技と突き押しに必須の要素がすべて備わった高性能車。スピードと頑丈さを支えるのが「ミッキーマウスみたい」と師匠が言う人並み外れて大きい手足。その天賦の才を地道に磨いた。

 母・高西恵美子さん、兄・一直さんと3人家族。大学進学の学力は十分あったが女手一つで育ててくれた母を助けたかった。「本当に親孝行できた。これからも頑張っていきたい」と、家族へ最高の恩返しを果たした。

 部屋には遠藤がおり人気面はお手上げ。埼玉栄高3学年後輩の大関貴景勝にはいじられるキャラ。同学年の大関朝乃山に話題は先行された。悔しさを胸に強くなった。もう「地味」とは言わせない。

 場所中も帰宅後の自宅では過去の取組動画ばかり見た。まさに相撲の虫。たまに家族から送られる愛犬「チロル」の動画が癒やし。「(チロルに)いい報告します」と笑った。

 コロナ禍、緊急事態宣言下での初場所。八角理事長(元横綱北勝海)が「救世主」とあがめた新ヒーローが堂々と締めた。春場所は三役復帰が確実で、次なる照準は埼玉勢1808年以来の新大関昇進。「さらに稽古をやって期待に応えたい」と、最後まで変わらぬ真面目さで応じた。

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