朝乃山、天国の恩師へ贈る鎮魂星 かど番脱出まであと2勝、逆転優勝へ星2つの差

 「大相撲初場所・9日目」(18日、両国国技館)

 かど番の大関朝乃山が小結高安を寄り切って3連勝で6勝目(3敗)を挙げた。2020年1月18日に近大相撲部の恩師、伊東勝人監督が55歳の若さで急逝。教わった右四つの型で鎮魂星を天国へ捧げた。同じく近大OBの平幕宝富士は全勝の平幕大栄翔をはたき込みで破る殊勲星。大栄翔は連勝が8で止まったが依然、1敗で単独トップに立つ。かど番大関の正代は玉鷲を押し出し、2敗を守り、1差に再接近した。3敗に朝乃山、関脇照ノ富士ら10人が続く。

 天国の恩師も目を細める力強い右四つでの完勝だった。朝乃山は踏み込み鋭く、右をねじ込む。馬力自慢の高安をぐいぐい押し込み、相手の上手を鮮やかに切って自身が左上手。盤石の形で引き付けながら寄り切った。

 「自分の形になって落ち着けた。相手の逃げる方向に足を運べた」と会心の内容。序盤は精彩を欠いたが3連勝と復調。かど番脱出へあと2勝とした。

 伊東勝人監督の命日に特別な思いが胸にあった。前日から幕内土俵入りの際、近大の化粧まわしを着用。「先生の教えがあるから今、プロで活躍できている。教えを胸に土俵に立って相撲が取れた」と感謝を口にした。

 伊東監督、さらには富山商高の恩師、浦山英樹先生の命日も21日に控える。浦山先生からたたき込まれた四つ相撲の基本。伊東監督は脇が甘くなる悪癖を矯正するため、まわしが取れないように左手をテーピングで巻くなど徹底指導。前に圧力をかけながら右四つになる技術が磨かれた。

 「(2人が)場所中、国技館の上から見守ってくれている。自信を持って土俵に上がった。指導してもらったことを忘れず、あしたからも気を引き締めて頑張りたい」と、気持ちを高めた。

 全勝が消えトップと2差に接近。混戦模様で、終盤追い付くチャンスは十分ある。V争いを問われると笑顔で「ありがとうございました」と一度は立ち去ろうとしたが、パソコン画面の前に戻って言い切った。「一日一番取り切れば、結果は後から付いてくる」。2人の師への恩返し場所。朝乃山は逆転V2をあきらめない。

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