石川佳純が逆転勝ち 懐疑的な声を自力で黙らせた

 「卓球・全日本選手権」(17日、丸善インテックアリーナ大阪)

 27歳の石川佳純(全農)が1827日ぶりの涙の復活Vだ。女子シングルス決勝で、ともに東京五輪代表の伊藤美誠(20)=スターツ=と対戦。1-3と後がなくなってから4-3と逆転勝ちし、16年大会以来5年ぶり5度目の優勝を果たした。5度目の制覇は女子歴代3位タイで、5年ぶりの全日本女王返り咲きは史上最長記録。日本卓球界を長年けん引してきた第一人者が、東京五輪イヤーに復権を果たした。

 ◇  ◇

 劇的な復活Vで涙ぐむ姿を見て、過酷な東京五輪代表レースのことを思い出した。19年末までの1年間の世界ランク上位2人がシングルス代表に選ばれる。最終盤まで圏外の3番手に位置していた石川だったが、同年12月の大会で優勝。大逆転で五輪切符をもぎ取ったが、「7歳から卓球をやっていて、初めてやめたいと思った」と苦悩を明かした。

 リオ五輪以降、高速卓球の流れは加速し、国内でも伊藤、平野らが台頭。同じサウスポーの早田も成長しており「若い選手の方が中国選手に勝てそうじゃないか?と疑いの目を向けられたことも知っていた」と吐露した。

 心無い雑音があったからこそ“勝てそう”という印象ではなく“勝つ”という結果を追求し、自力で懐疑的な声を黙らせた。選考レース同様、世代交代の波にあらがった27歳が真価を証明する返り咲きだった。(デイリースポーツ卓球担当・藤川資野)

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