天理大3度目挑戦で悲願の初優勝 関西勢36大会ぶり頂点!決勝史上最多55点で完勝

 「ラグビー・全国大学選手権・決勝、天理大55-28早大」(11日、国立競技場)

 3度目の決勝に臨んだ天理大(関西1位)が2連覇を狙った早大(関東対抗戦2位)を55-28で破り、初優勝を果たした。前半を29-7で折り返すと、後半も猛攻を続けて計8トライを奪い、決勝では史上最多となる55得点で快勝した。大黒柱のCTBシオサイア・フィフィタ(4年)の2アシストを受けたCTB市川敬太(4年)が4トライと暴れ回った。関西勢の制覇は1984年度に故平尾誠二さんを擁して3連覇した同大以来36大会ぶり。

 苦難をはね返し、たどり着いた最高の頂点だった。ノーサイドの瞬間、チームをけん引したフィフィタは、4トライの市川と抱き合った。「2年前からすごく悔しかった。今日終わった瞬間は、すごくうれしかった」。流ちょうな日本語で喜びを爆発させた。

 2季前は決勝で明大に、昨季は準決勝で早大に敗れた。今季はこの関東対抗戦勢1、2位を堂々たるラグビーで倒してリベンジ。関西勢36大会ぶりとなる初優勝を飾った。

 前夜の就寝前、ラストプレーで逆転の可能性を残しながら自らのノックオンで終戦した2年前の決勝・明大戦を思い出したというフィフィタ。「油断したりミスしたら、みんながしんどくなる。明日(自分が)いらんことしたら負けてしまう。できるだけボールを回そう」と心に決めた。

 この日、自身はノートライに終わったが、市川の4トライのうち2つはフィフィタのラストパスによるもの。チームは前半から仕掛け、計8トライ、27点差の完勝だった。

 主将のフランカー松岡大和(4年)は「(フィフィタがサンウルブズから帰ってきて)周りを生かすプレーをするようになった」と振り返る。大学生ながらサンウルブズのメンバー入りした大黒柱は、15人全員でプレーする大事さを学び、チームに還元していた。市川も「両センター(CTB)で、ぶれずに日本一を言い続けてきた」。ともに一丸で得た優勝を強調した。

 コロナ禍もチームで乗り越えた。昨年8月に部員のPCR検査陽性が判明するなど、寮内でクラスターが発生し活動を一時停止。9月中に全体練習が再開してもチームへの誹謗(ひぼう)中傷を受け、多くの部員がリーグ戦の中止を覚悟していた。一方で天理市民や大学の他クラブからはそれをかき消すほどの励ましの声があり、部員は周囲からの思いを共有して力に変えた。

 市川は「いろんな方に支えていただいて前を向けた」と感謝。フィフィタも「みんなでしんどい思いをして得た優勝」。どん底を経験した“黒衣軍団”が一つになり、大学ラグビーの“東高西低”を覆してみせた。

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