【東田哲也の観戦記】小松監督は真面目で戦略的に考える男

 「ラグビー・全国大学選手権・決勝、天理大55-28早大」(11日、国立競技場)

 3度目の決勝に臨んだ天理大(関西1位)が2連覇を狙った早大(関東対抗戦2位)を55-28で破り、初優勝を果たした。前半を29-7で折り返すと、後半も猛攻を続けて計8トライを奪い、決勝では史上最多となる55得点で快勝した。大黒柱のCTBシオサイア・フィフィタ(4年)の2アシストを受けたCTB市川敬太(4年)が4トライと暴れ回った。関西勢の制覇は1984年度に故平尾誠二さんを擁して3連覇した同大以来36大会ぶり。

 ◇  ◇

 天理大は立ち上がりからブレークダウンで圧倒し、ペースをつかみました。前半は完璧な内容で、後半も危なげなし。2季前の明大との決勝戦は浮足立って自分たちのラグビーができずに敗れましたが、その悔しさ、経験をしっかりと生かし、自分たちのラグビーを最後までやり抜きました。

 小松監督とは同学年で、高校日本代表で一緒にプレーしました。私がWTBで、彼はCTB。同じバックスということで仲が良かったですし、オーストラリア合宿では同部屋にもなりました。本当に真面目な性格。当時から戦略的にラグビーを考える男でした。

 同大では個性を尊重し創造性豊かなプレーを指向する岡仁詩監督の指導をともに受けました。サインプレーなど、天理大の攻撃のバリエーションの豊富さには、そのイズムが垣間見えます。

 私が社会人のワールド時代に一緒にプレーした、岡田明久FWコーチの存在も大きいように思います。とても面白い男で、選手を乗せるのがうまい。理詰めでチームをまとめていく小松監督とのコンビは本当にバランスが良く、指導陣の理想型だと言えるでしょう。

 準決勝で明大に勝った後、小松監督には祝福の言葉とともに「本当におめでとうと言うのは、決勝に勝ってからだな」とLINEを送りました。同大で私たちの代が3連覇して以来の関西勢の頂点。本当におめでとう。ずっと「東高西低」の構図が崩せなかった関西の大学ラグビー界にとっても大きな優勝になりました。(六甲クラブ総監督、元日本代表WTB・東田哲也)

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