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羽生の祈り「真っ暗だからこそ見える光がある」 コロナ禍の世界へ伝えたい思い

 羽生結弦
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 フィギュアスケート男子で五輪2連覇王者の羽生結弦(25)=ANA=が17日、日本オリンピック委員会(JOC)の公式ツイッターを通じて、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と闘う人々へ動画メッセージを送った。自身の言葉で不要不急の外出自粛への協力を訴え、医療従事者に感謝を伝え、闘病する人々を思いやった。また、自身も被災した2011年3月11日の東日本大震災の経験を交え「真っ暗だからこそ見える光があると信じています」と、呼び掛けた。

 1つ1つの言の葉に、祈りと思いを込め、羽生は語った。世界を襲う未曽有の事態。日常は壊れ、人々の生活はかつてない閉塞(へいそく)感に包まれている。それは9年前に自身が経験したあの日にも似た-。凛(りん)とした瞳で真っすぐにカメラを見据えて、呼び掛けた。

 「真っ暗闇なトンネルの中で希望の光を見いだすことはとても難しいと思います。でも、3・11の時の夜空のように真っ暗だからこそ見える光があると信じています」

 2011年3月11日、東日本大震災。羽生は地元仙台での練習中に被災した。自宅は全壊し、拠点リンクは閉鎖。かつて「もう駄目だと思った」と語っていたように、日常を失った故郷を思い、スケートを辞めることも考えた。絶望の中で周囲の人に支えられ、ファンの声に勇気をもらい、暗闇の中に輝きを見いだしていった。そして自らが復興への光に-。現状を受け止め、前に進み、顔を上げた先に輝ける未来はある。だからこそ、伝えたいことがあった。

 今、何よりも最優先となるのは感染拡大の阻止。「つらいことや我慢しなくてはならないこと、そして制約がたくさんある毎日だと思います。生活が苦しい状況でもありますが、どうか不要不急の外出は控え、感染拡大防止のためにご協力をお願いいたします」と、協力を呼び掛けた。さらに最前線で闘う医療従事者へは「僕たちアスリートはいつも応援の力を感じ、そして受け取っていくことで頑張れています。このような状況の中で未知のものに挑んでくださっている方々に心からの感謝を申し上げます。本当にありがとうございます。プレッシャーにもなるかもしれませんが、遠くから応援の気持ちを飛ばしていきたいと思います」と、感謝とエールを込めた。

 そして、ウイルスに感染し、苦しむ人々を「何よりも今、苦しみながらも闘病されている皆さま、本当に苦しいと思いますし、想像を絶する恐怖とも闘っていらっしゃると思います」と思いやった上で、冒頭の言葉とともに、こう締めくくった。「どうか無理をなさらず、周りにいる方々を信じて、頼ってください。そして、皆さまが心からの笑顔で語り合える日々がくることを祈っています」-。

 動画の反響は大きく、投稿から5時間で17万回再生され、返信欄にはアジア、世界からメッセージが届いた。現在、世界においてほぼすべてのスポーツイベントが停止し、多くの選手にとって練習もできない状況が続いている。来季の現役続行を表明している羽生自身も、1人のアスリートとして苦難の中にいることは間違いない。そんな中で紡がれた“氷の英雄”からの1分32秒の熱く優しい言葉が、人々の心をつないでいく。

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