幻の五輪代表も?選考基準の検証へ JOC山下会長「もう一回気持ちを奮い立たせて」

 今年7月に開幕し、56年ぶりの首都開催となる予定だった東京五輪が新型コロナウイルスの世界的な感染拡大の影響で来夏までへの延期が決まったことを受けて、各競技団体は25日、今夏開催を前提に作られた現在の代表選考基準の検証に入った。日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(62)は「競技団体の判断を尊重する」としており、競技によっては内定の取り消しなどにより“幻の五輪代表”が生まれる可能性も出てきた。

 延期決定から一夜明け、各競技団体は来夏となった祭典へと動き始めた。問題となるのは、今年7月開幕を前提で作られた代表選考要項の扱いをどうするか。日本ではすでに五輪で104人、パラリンピックで46人が代表に内定している。ある競技団体の強化担当は「どうしたらいいか。まず国際連盟の方針を確認しないと」と、頭をかいた。

 今後は国際オリンピック委員会(IOC)の決定を受けて、各国際連盟が現在の出場枠条件の扱いをどうするかを検討。その方針をもとに、日本の各競技団体も選考基準の変更を検討していくことになる。選考基準の変更で、すでに内定している選手や、ほぼ出場権を手中にしている選手が、“幻の代表”となってしまうケースもありうる。

 この日、都内で取材に応じたJOCの山下会長は「選考が白紙となり、幻になることがないわけではない」と認識を示した上で、「各競技団体の決定を尊重する。若い選手が成長するかもしれないし、最高の選手を送り出すとなると、いろんなケースがある」と競技団体の決定を尊重する意向を示した。ベテラン選手が力を維持できるか、1年で急速に力をつける選手たちの扱いをどうするか。難しい判断が必要になる。

 自身も1980年のモスクワ五輪で政治的な理由でのボイコットにより、“幻の五輪代表”になった過去がある。ただ、その4年後のロス五輪にも出場し、金メダルを獲得。経験を踏まえ、アスリートたちに「腐らず、諦めず、もう一回気持ちを奮い立たせてほしい。再び21年に向けてチャレンジして、全力を尽くしてほしい」と、呼びかけた。

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