阿部詩が五輪代表決定的“金髪化”因縁ブシャールに雪辱V

 「柔道・グランドスラムデュッセルドルフ大会」(21日、ドイツ)

 東京五輪代表選考会の一つとして行われ、女子52キロ級で世界選手権2連覇中の阿部詩(19)=日体大=が、全5試合を反則を含む一本勝ちで制して優勝した。決勝は、昨年11月のGS大阪大会決勝で敗れた世界ランク1位のブシャール(フランス)に雪辱。代表1番手として結果を残し、27日に行われる強化委員会での代表内定が決定的な状況となった。

 初戦から危なげなく勝ち進んできた阿部は、決勝で因縁の相手との再戦にこぎつけた。前回は変則的な組み手に苦しんで苦杯を喫したが、今回は反省を生かして自分の間合いを徹底。“金髪”になって威圧感の増したブシャール相手に臆することなく、袖釣り込み腰などで攻め立てて、指導3つを奪って勝利を挙げた。「うれしいというよりはホッとした」と胸をなで下ろし、「まだまだこれからもライバルとして嫌なところは消えないが、少しは前のリベンジができた」とうなずいた。

 前回は勝てば五輪代表に決まる可能性が高かった一戦で、選考を意識しすぎたのも敗因の一つ。「(今回は)代表選考のことは全然頭になくて、一切考えてなかった」と“邪念”を封印して目の前の一戦に集中し、結果として結実させた。優勝したことで2番手との差も大きくなり、日本女子の増地克之監督は「(代表に)一歩近づいた」と27日の代表決定の可能性を示唆した。

 既に視線は五輪本番の金メダルに向いている。五輪切符を“当確”としたものの、阿部は「自分のイメージの動きとはほど遠い。(自分の力の)80%くらい」と反省も忘れない。「もっと積極的に攻める柔道を追求していきたい。五輪ではもっと自分らしく、もっと強くなった姿で出たい」と、さらなる強さを渇望した。

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