高飛び込み13歳・玉井陸斗、日本最年少メダル獲得へ「ノースプラッシュ」の離れ業

 高飛び込み男子で最年少記録を軒並み更新している13歳の玉井陸斗(JSS宝塚)が新春インタビューに応じた。東京五輪では日本男子最年少出場のみならず、日本最年少メダルの期待もかかる逸材。国際大会への出場経験もまだあまりない超新星だが「ノースプラッシュ」を武器に世界を驚かせる。小さな体に秘めたその大きな志で、飛躍を誓った。

 飛び込み界期待の新星・玉井が2020年、東京五輪の舞台で新たな歴史の扉を開く。

 昨年は4月の日本室内選手権で日本男子最年少12歳7カ月での優勝を果たすと、9月の日本選手権でも最年少13歳0カ月で初優勝を達成。得点は7月の世界選手権4位相当で、メダルも狙える位置にいることを示してみせた。「人生が変わったなって感じがする」と振り返った1年を経て、東京五輪イヤーを迎える。目指すのは13歳10カ月での男子五輪最年少出場だ。

 「まずはしっかりオリンピックに最年少出場して、世界のトップの選手たちと争えるような演技をすることが目標です。(最年少出場は)狙えるので、しっかり自分がそれを勝ち取りにいきたい」

 148センチ、41キロ。クラスの背の順は前から2番目だが、4月から身長は5センチも伸びた。

 「飛び込みやってると160ぐらいで止まってほしいなとは思いますけど…。(やってなかったら)170ぐらいはほしいです」

 競技特性上、回転技は小柄な選手が有利な傾向にある。

 「大きい体で宙返りしても見栄えがしないと思うので、小さい体を生かして、形をきれいにとってしっかり入水を決めることを武器にやっていきたい」

 身長が伸びている分、体幹トレーニングで体を鍛え、感覚を維持しているという。

 いつかは五輪に出たいと夢見てはいたが、もともと玉井が目指していたのは24年パリ五輪や28年ロサンゼルス五輪。東京五輪への前倒しを決めたのは、小学5年だった約2年前、それまでの3メートル板飛び込みに加え、10メートルの高飛び込みを始めた頃のことだ。すでに五輪内定を決めている寺内健(ミキハウス)らトップ選手と練習をともにするようになった。

 寺内も玉井を「2、3年前からこうなるだろうと予測はしていた。失敗からどうやったら成功に導けるかを常に考えていて、練習に対する姿勢や志は同年代とはちょっと違う」と絶賛しているが、玉井自身が「お!」という感覚に出合ったのは、207B(後ろ宙返り3回半えび型)を決めた瞬間だという。

 最初は前飛び込みなど難度の低い技から順にトライするのだが、玉井はすぐに習得し、難しい技に挑んだ。

 「207Bを飛べるようになって、練習で本数も増やしていった。徐々に真っすぐ入るようになっていった。試合で決めたら高得点が出る技なので、五輪も近いんじゃないかなと思うようになった」

 代名詞は「ノースプラッシュ」。高さ10メートルから回転しながら落下するにもかかわらず、入水の瞬間にはほとんどしぶきがあがらない、飛び込みならではの技のこと。基本であり最も難しい、勝負の鍵を握るコンマ数秒の技術だ。高さはビル3階相当、飛び出してから入水までは2秒ほどしかない。その中、類いまれな空中感覚で宙返りなどの技を決める。

 「怖いなとは思うんですけど、そんなん言ってられない。水、青いとか、景色は何となくしか見てないです(笑)。でもノースプラッシュって普通じゃあり得ないこと。宙返りやひねり技は迫力もあるし、かっこいいと思う」

 「今までは小さくて高飛びを飛んでるだけだったけど、小さくても日本一になれる。自分にも自信がついて、思いっきり演技ができるようになってきた。東京五輪では(飛び込み界メダル)第1号になれるようにしたい」。2020年、小さな体で高く高く飛ぶ。

 ◆玉井の東京五輪への道 男子高飛び込みで出場権を得るには、2月の国際大会派遣選手選考会(東京辰巳国際水泳場)で日本代表となり、4月のW杯東京大会(アクアティクスセンター)で18位以内に入る必要がある。玉井は国内では“敵なし状態”で、国際大会でも表彰台に食い込むなど世界でも上位の実力があり、どちらも大きなミスなく演技できれば五輪切符をつかむ可能性は高い。

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