瀬古利彦氏が激怒「何で札幌なのか分からない」いまだ説明なし…選手も批判

 東京都、国際オリンピック委員会(IOC)、東京五輪・パラリンピック組織委員会、政府の4者協議が1日、都内で開かれ、五輪のマラソン、競歩の開催地は暑さを避ける目的で札幌市に変更することで決着した。唯一、反発していた東京都の小池百合子知事(67)が「合意なき決定だ」と移転を事実上認めた。五輪のマラソンが開催都市以外で実施されるのは史上初。一方で、日本陸連の瀬古利彦マラソン強化戦略プロジェクトリーダー(63)はIOC主導の決定に不満を隠さず、選手側からも複雑な思いが明かされた。

 日本陸連の瀬古マラソン強化戦略プロジェクトリーダーは札幌開催決定に、「何で札幌なのか分からない」と激怒した。福岡市内で行われた福岡国際マラソンの招待選手発表会見後に取材に応じ、いまだにJOCや大会組織委から説明がない現状にも「強化のわれわれトップが知らないのは不本意。他の強化(担当者)もやる気がなくなったという話を聞いている」と眉間にしわを寄せた。

 選手の受け止めもさまざまだ。

 9月の五輪代表選考会「マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)」で男子1位になった中村匠吾(富士通)は「東京開催に向けて多くの方々が準備を重ねてきたので複雑な思いがある」と吐露。世界選手権(ドーハ)で男子50キロ競歩3位のエバン・ダンフィー(カナダ)は自身のツイッターで、「IOCはその全ての強大な意思を全関係者に強要した。結局損をするのは選手だ」と厳しく批判した。

 一方で青学大・原晋監督は自身のツイッターに「『合意なき決定』がなされた」と投稿。「【1】日本陸連としての立場が弱すぎる、【2】アスリート自らの思いを発信できていない、【3】トラック&フィールド多種目存在する中マラソンへの思いや当事者意識の欠如」と問題提起し、最後に「陸上界の輝く未来のために!今一つ考えてみよう」と訴えた。

 「アスリートファースト(選手第一)」という理念の下、暑さを避ける目的でIOCが主導した札幌移転。だが主役となる選手、支える関係者の心には、すきま風が吹いている。

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