“ONE TEAM”虚し…コーツ氏と小池知事、渇いた応酬 札幌決着も

 4者協議の冒頭、IOCのコーツ調整委員長(左)に書類を手渡す東京都の小池百合子知事(代表撮影)
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 20年東京五輪のマラソン・競歩会場の札幌への移転を協議する国際オリンピック委員会(IOC)調整委員会は最終日を迎え、IOCのジョン・コーツ調整委員長、組織委の森喜朗会長、小池百合子都知事、橋本聖子五輪相による4者会議が1日、都内で行われ、札幌移転が正式に決定した。事前協議なしに強行移転を決めたIOC、受け入れた組織委に反発を強めていた小池知事は、最後まで同意はせず「合意なき決定であります」と、表明。開催都市の首長の同意がないまま、競技会場が変更されるという前代未聞の決定となった。

 淡々と交わされる言葉には節々にトゲと、なんとも言えない冷たさがあった。決定についてコーツ委員長から「この内容はご満足ですか?確認のためだけに伺ってます」とコメントを求められた小池知事は「スピーチをしてもいいんですか?それともイエスと言えばいいんですか?」と皮肉を込めて話すと、コーツ委員長は「スピーチしたければどうぞ。昨日合意した4点について、これを1点1点と議論するつもりはない」と、返答。今回の件で深まった溝が埋まりきっていないことを感じさせた。

 終盤にも小池知事は「1つ加えたいポイントがあります。世界銀行も温暖化については毎年予測を前倒ししている。そのことを考えると、五輪開催の前提条件が7、8月ということは、北半球の都市はどこをとっても過酷になると言わざるを得ない。“アスリートファースト”と言うならよく考えていく必要がある」と、問題提起。コーツ委員長は「東京の招致が決まった総会で、われわれは五輪憲章を変えました。それによって場合によってはすべての競技が1つの開催都市ではできないかもしれないことを認識しました。そういう時には7、8月にするということとは別として、別の都市に違った競技をやってもらうことが可能になった」と、“余計なお世話”と言わんばかりに主張した。

 組織委の森会長も、小池知事が受け入れたことについて「大変な決断。敬意を表したい」とした上で「“合意なき決定”というのは欧州ではやった言葉ですが、ここにはまるかどうか」とぼやいた。

 最後に森会長は「“ONE TEAM”を構成して来年の五輪に向かいたい」と話したが、残り9カ月、不安だけが残るやりとりだった。

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