内村「話にならない」4カ月ぶり実戦復帰5位 自嘲気味笑顔で五輪「厳しい」

 「体操・全日本シニア選手権」(30日、福井県営体育館)

 男子で4カ月ぶりの実戦復帰となった五輪個人総合2連覇王者の内村航平(30)=リンガーハット=は、あん馬で落下するなどのミスが出て、6種目合計83・900点で5位に終わった。世界選手権(10月・ドイツ、シュツットガルト)代表の萱和磨(22)=セントラルスポーツ=が86・100点で初優勝した。女子は18年世界選手権個人総合銀メダリストの村上茉愛(23)=日体ク=が4種目合計56・665点で初優勝を果たした。

 認めざるを得なかった。今の自分はかつての自分ではない。まさかの代表落ちから4カ月。東京五輪に向けた再スタートで、内村は改めて現実を見た。あん馬で落下し、鉄棒も車輪が乱れた。自嘲気味な笑みを交え吐き捨てた。「話にならない。話にならないです」。五輪についても「厳しいんじゃないですか」と笑った。

 不安を抱える両肩にも、2週間前にぎっくり腰となった腰にも痛みがあったのは確か。得点と順位だけを見れば、復帰戦としては悪くない結果にも見える。ただ、内村だけが知る“当たり前”が、“当たり前”ではなくなっていた。「あん馬には毎日通し練習をやってきて、自信があった」。練習で積み上げてきたものが裏切られた。何よりもそれがショックだった。

 「試合に合わせる力がなくなっている」。ここ2年、けがで世界選手権の個人総合を戦えなかった。最高峰の感覚から遠ざかり、圧倒的強さを支えた調整力に衰えを感じている。「ミスしないことが普通だった。でも以前の方がおかしかったのか」。そう語る表情に哀愁がにじんだ。

 推薦ラインの85点に届かず、五輪につながるW杯の出場権が懸かる11月の個人総合スーパーファイナル出場(高崎)は厳しくなった。次戦は来年4月の全日本選手権に、ぶっつけになる可能性が浮上した。

 この日、内村には一際大きな歓声が降り注いだ。ただ、それに手を上げ、応えることはなかった。「若手の動きを見るとやっぱり良かったから。今の僕なんかが応えられる立場にない」。紡ぎ出す言の葉には、最後まで自らへの棘(とげ)があった。

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