令和初賜杯は朝乃山…高砂部屋9年ぶり 大相撲新時代の“朝”がきた

 「大相撲夏場所・14日目」(25日、両国国技館)

 平幕朝乃山(25)=高砂=が令和初の場所で初優勝した。大関豪栄道を寄り切って撃破し12勝目(2敗)。結びで1差の横綱鶴竜が関脇栃ノ心に敗れたため千秋楽を待たず、富山県出身では1916年夏場所の横綱太刀山以来、103年ぶり優勝が決まった。三役経験なしの平幕Vは61年夏場所の佐田の山以来58年ぶり。初土俵から所要20場所は史上8番目の速さ(付け出しを含む)で、新入幕から所要11場所は年6場所制となった1958年以降、8位のスピードとなった。新時代「令和」に誕生した新スターは千秋楽、トランプ米大統領から優勝トロフィーを授与される。

 令和の新星は驚くほど淡々としていた。土俵下の控え、目の前で鶴竜が敗れた瞬間、初優勝が決定。引き揚げる花道で笑顔もうれし涙もない。優勝インタビューでも「まだ実感はない。平常心で取れて良かった」といつものように答えた。

 大一番で強心臓。これぞ大器という強い相撲だった。豪栄道とがっぷり右四つ。身長187センチ、体重177キロの巨漢を生かし懐が深い。おっつけて左上手。盤石で寄り切った。「大関に勝った。左を絞って体ごと持っていけて良かった」。力勝負で豪栄道に初勝利したことをかみしめた。

 令和を彩る生きのいい若手は新大関貴景勝を筆頭に小結御嶽海、平幕阿炎、阿武咲ら、圧倒的に突き押しが多い。本格四つを武器とする愛称「富山の人間山脈」。引退した元横綱稀勢の里(現荒磯親方)のようなスケールの大きさがある。

 「若手で四つの柱になりたい」と本人もプライド。四つは恩師からたたきこまれ、師弟で築いた武器だった。

 17年1月に亡くなった富山商の浦山英樹監督が朝乃山の礎を作った。「弱かった」と中学まで実績のなかった朝乃山は中学3年の大会で左肘を骨折して手術。「相撲をやめようと思っていた」。しかし同監督が同校に誘い、強くしてくれた。

 「横綱になれるのは一握り。その無限の可能性がある」との遺書は常に頭にある。一番に優勝を伝えたいのは「先生です。いつも土俵の上で見守ってくれている」と天国に最高の恩返しとなった。

 富山の名横綱太刀山と同じ呉羽町出身。「太刀山道場」で相撲を始め、小、中学には優勝額が飾ってあった。その伝説以来、103年ぶりの優勝。「優勝額を隣に飾れたら光栄」と心を躍らせた。

 千秋楽、トランプ米大統領が観戦に訪れ、国技館は超厳重警備、厳戒態勢が敷かれる。角界の歴史的な1日、「トランプ・トロフィー」を受け取るのは25歳、若きスター。「重いんですかね。持てるかな」と笑った朝乃山。「おめでとう~」とファンが大コールする中、国技館を引き上げた。

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