やり投げ・北口榛花が日本新 ビッグスローで東京五輪へ前進 

 「陸上・木南記念」(6日、ヤンマースタジアム長居)

 女子やり投げが行われ、北口榛花(21)=日大=が、5投目で64メートル36の日本新記録をマークし、優勝。海老原有希が15年に出した63メートル80を50センチ以上更新し、フィールド種目では日本最速で東京五輪参加標準記録(64メートル)も突破した。今季世界ランキングでも6位の好記録だった。男子100メートルは18年アジア大会銅メダリストの山県亮太(26)=セイコー=が、10秒21(追い風0・1メートル)で優勝。多田修平(22)=住友電工=が10秒28で2位だった。

 来年に迫る夢舞台へ、希望のアーチを架けた。4投目で日本歴代2位の63メートル58を投げ、迎えた5投目。「手応えはなかったです。でもやりが綺麗に出たなと思った」。日本記録を示す赤いラインを超えるビッグスロー。東京五輪参加標準記録の64メートルを超える64メートル36が表示されると、歓喜の声をあげて、ピョンピョンを跳ね回った。

 不思議な“予兆”があった。この日、朝起きて顔を洗うと、手が真っ赤に。「鼻血が止まらなくて。ウォームアップでもまた出て・・・。救護室に氷とティッシュをもらいにいきました」。ただ、それで開き直れたという。「記録が出ないでもしょうがないと。言い訳ができて、リラックスして投げられた」と、豪快に笑った。

 苦難の時を経て、原石は磨かれた。短距離のサニブラウン・ハキームらとともに日本陸連のダイヤモンドアスリートに認定され、15年世界ユースで金メダル。しかし、16年リオ五輪の出場を逃すと、その後は右ひじ故障などに苦しんだ。17年にはコーチも不在に。「色々あって、誰に頼っていいのか分からなくなった。精神的にやられていた」。昨年の日本選手権前には重圧で食べられなくなり、体重が5キロ減。惨敗に終わった。

 結果の出ない2年を過ごし、今季に向け一念発起。自ら動いた。「2年間逃げ続けてきた」という混成選手との過酷な合同練習に参加。下半身を徹底的に鍛え上げた。

 また昨年末に知り合ったチェコ人のコーチと自らコンタクトをとって交渉し、2月にチェコへの単身武者修行を実現。女子のシュポタコバ、男子のゼレズニーという男女世界記録保持者を輩出した王国で、技術と心得を学んだ。磨き上げた“榛花キャノン”で、美しい放物線を描いた。

 参加標準を突破し、東京五輪出場へ大きく前進。ただ、夢はもっともっと先にある。「日本人には無理かと思われるかもしれないけど、世界記録(72メートル28)も目指したいし、世界選手権や五輪で金メダルを狙いたい」。迷いが消えたその右腕で、遙かなる夢も、きっと射貫いてみせる。

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