高橋尚子さん「小出監督のおかげ」メダルも世界記録も今の自分があるのも…

 陸上の女子長距離の名指導者で、五輪金メダリストの高橋尚子さん(46)らを育てた小出義雄氏が24日午前8時5分、肺炎のため千葉県浦安市の順天堂大浦安病院で死去した。80歳だった。選手を褒めて伸ばす指導と明るく豪快なキャラクターで知られ、高橋さんとの二人三脚は大きな注目を浴びた。近年は入退院を繰り返して現場に出る回数も減り、3月末で指導者を勇退していた。

 人生を変えてくれた恩師の訃報を、高橋さんは自宅で聞いた。週末に自らの名前を冠したレース「高橋尚子杯ぎふ清流ハーフマラソン」を控え、準備に忙殺されていた最中だった。

 体調が悪いことは知っていた。4月に入ってからは週に3回は病院に見舞いに行って、小出さんを励ました。集中治療室に入った後も、家族と一緒に回復を祈ったが、その願いはかなわなかった。

 「オリンピックでメダルがとれたのも、世界記録を出せたのも、今の自分があるのも小出監督のおかげです」

 大阪学院大を卒業後、リクルートランニングクラブの小出監督の元に押しかけるように入部を直訴。全く実績のない高橋さんの熱意に根負けした小出監督は入部を認めた。すべてはこの奇跡の出会いから始まった。

 98年バンコクアジア大会で日本記録、00年シドニー五輪金メダル、01年ベルリンマラソンで世界記録、そして国民栄誉賞。高橋さんの明るいキャラクターは誰からも愛され、マラソンは国民的な人気スポーツに育った。

 「弱い私を根気よく指導してくださって、一緒に走ってくださって、自信をつけさせてくださって、監督の大切な時間を費やしてくださって、オリンピックでメダルをとらせてくださって、ありがとうございますと、何度言っても伝えきれないほど感謝の気持ちでいっぱいです。たくさんのことを教わりました。監督の笑顔をもっと見たかったし、お話ももっと聞きたかったです。これからは大好きなお酒をたくさん飲んで、思い切りかけっこしてください」。高橋さんは天国へと旅立った恩師にそっと語りかけた。

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