日本相撲協会は２７日、エディオンアリーナ大阪で夏場所（５月１２日初日、両国国技館）の番付編成会議と臨時理事会を開き、春場所で１０勝を挙げた関脇貴景勝（２２）＝千賀ノ浦＝の大関昇進を満場一致で決めた。

　大阪市内ホテルで行われた昇進伝達式で使者の出羽海親方（元幕内小城乃花）、西岩親方（元関脇若の里）から昇進を伝えられると、注目の口上。

　「謹んでお受け致します。大関の名に恥じぬよう、武士道精神を重んじ、感謝の気持ちと思いやりを忘れず、相撲道に精進してまいります」。言葉を詰まらせることなく、堂々と言い切った。

　伝達式の後、会見。「小さい時からの夢だった。うれしい」と喜びをかみしめた。伝達式には「本場所とは違う緊張があった。失敗しないようにやった」と安どした。

　口上に込めた思いに関し「小さい頃からこの言葉で自分を築き上げてきた。プロに入ってからこの言葉に救われた。きょうはこの言葉を入れた」と話した。

　「武士道は力のもののふ（士）と書いて力士と呼ぶ。自分も『勝っておごらず負けて腐らず』でやってきた。感謝の気持ちは埼玉栄高相撲部の部訓。いろんな人に支えられてきた自分一人じゃない。感謝の気持ちを忘れたらいけない」と、言葉の意味を説明した。

　千賀ノ浦親方（元小結隆三杉）は「部屋が一緒になってまだ３場所目。いずれは上がると思ったけどこんなに早く昇進とは。本当に感無量。立派な口上で良かった」と、弟子とともに立った晴れ舞台に笑みがあふれた。

　新大関はこれからは挑まれる立場になったことを問われると「今まで通り自分が挑んでいく気持ち。なったから受けるではなく、向かって行く。そういう相撲スタイル。まだ上の番付がある。守っていては終わる」と、力を込めた。

　目指す大関像には「次の番付を目指す。もう一つ上を目指す」と、あくまで横綱への“通過点”。両親に晴れ姿を見せられたことに「両親と約束した夢はかなってない。途中ですが一つの扉は開いた。相撲道に精進して親孝行したい」と、横綱昇進を誓った。

　先代師匠の元貴乃花親方にも感謝の言葉。「貴乃花親方にお世話になり指導していただいた。ここまで来られて感謝の気持ちは当たり前にある。恩を返すには強くなって土俵で返すしかない」と述べた。