バドミントンの全英オープンの男子シングルスで優勝した桃田賢斗（２４）＝ＮＴＴ東日本＝が１２日、羽田空港に帰国した。１０９回目を迎えた伝統の大会で日本勢が同種目を制するのは初めてで、世界中のバドミントン選手が憧れる舞台で頂点に立った。昨夏の世界選手権制覇に続くビッグタイトル獲得となり、「（この大会は）他の選手の目つきも変わる。前から憧れの舞台で優勝できて、すごく達成感を感じています」と喜びを語った。

　少しずつ真の王者のメンタルも備えつつある。昨年９月に初めて世界ランク１位に浮上してからは持ち味の積極性を出し切れないこともあったが、今回は心技体全てで充実ぶりを発揮した。「前は世界ランク１位を奪われたくないと保守的になっていた。でも、今は１位だけのプレッシャーに（自分だけという）優越感があるとポジティブに捉えている」と、重圧を超えた開き直りの境地を明かした。

　金メダルが期待される東京五輪開幕まで、この日で５００日となった。「全英で優勝できてすごく自信になったし、五輪にも出られたらいいなと思うが、自分のスタンスは１戦１戦目の前の試合に感謝の気持ちを感じながら全力を出すこと。それは変わらない」と不変を強調。憧れのリー・チョンウェイ（マレーシア）、林丹（中国）らレジェンド選手に肩を並べることを目標に、「全英で優勝できて責任も重くなる。見に来ている観客を楽しませられるように、応援されるような選手になりたい」と決意を新たにした。