稀勢の里、初の進退会談か…田子ノ浦親方と緊迫1時間半 2場所連続初日から3連敗

 「大相撲初場所・3日目」(15日、両国国技館)

 今場所に進退を懸ける横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が平幕栃煌山に寄り切られ、初日から悪夢の3連敗を喫し、師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)と今場所初めて話し合いを行った。師弟ともに無言だったが去就判断の時は迫っている。昨年秋場所千秋楽から9連敗(不戦敗を含む)で、1場所15日制が定着した1949年夏場所以降の横綱では単独ワースト記録。もはや気力の持続も限界が漂う中、4日目、錦木戦に出場し、決断を持ち越す可能性がある。

 稀勢の里が3日連続、あっけない敗戦を繰り返した。もろ差しを許して寄られると、棒立ち。観念したように自ら土俵を割った。天を仰ぎ、その後、ガックリとうつむいた。

 “花のロクイチ組”と呼ばれしのぎを削った同級生、栃煌山に2場所連続の金星配給。現状の力を突き付けられた。復活を信じる大歓声は一瞬でため息に変わり、同情のような拍手が湧いた。

 結びの一番を土俵下で口を真一文字に結び見届けた。支度部屋では3連敗の心境を問われたが無言。さまざまな感情が去来したか、腕を組み、1人の時間に入り込んだ。

 進退問題は緊迫。午後7時、稀勢の里は大勢の報道陣が待ち受ける中、都内の部屋に車で戻った。今場所初めて師匠の田子ノ浦親方(元幕内隆の鶴)と話し合いの場を持った。1時間半後、部屋を出ると無言で車に乗り込んだ。

 親方は進退に関し「本人しか決められない」とどんな判断でも後押しする意向を示していた。親方もこの夜、出場可否に関し対応しなかった。4日目の錦木戦に出場し、去就判断は16日以降に持ち越された見通しだ。

 不戦敗を含め、横綱連敗は単独ワーストの「9」。不戦敗を含まない「8」も貴乃花を超えてワーストと泥沼。負の歴史に歯止めがかからない。

 横綱が2場所連続で初日から3連敗を喫するのは30年10月、31年1月場所の宮城山以来88年ぶり。金星配給は2日連続、18個目と量産。横綱在位12場所で36勝35敗97休。勝率・507はダントツで低い。

 八角理事長(元横綱北勝海)は「今さら上手とかおっつけじゃなく体を動かすのは気持ちだから」と話し、あとは気持ちが続くのかどうか。阿武松審判部長(元関脇益荒雄)は「頭で組み立てている相撲に体が反応していない。厳しいと思う」と見通しを述べた。

 この日は父・貞彦さんの73歳の誕生日。幼少期より土台となる肉体をつくり上げるため、ボクシング、ラグビー、水泳などさまざまな競技を英才教育され、ハードトレで厳しく鍛え上げられた。その父は言う。「その先の人生にいい経験になる」。横綱としてもがいた日々が必ず将来の糧になると信じている。

 地元の牛久市郷土後援会にはファンからの連絡がやまず「頑張って」など声が届く。16日には同会恒例の応援ツアーが組まれ95人が国技館に駆け付ける。

 ボロボロになり、ファンの前でまだ戦い抜く姿を見せるのか。第72代横綱が燃え尽きる時は迫る。

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