名手カーター、NZスタイル注入 加入1年目でスミス総監督らと支柱に

 前半、コンバージョンゴールを決める神戸製鋼 ダン・カーター
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 「ラグビー・日本選手権兼トップリーグ順位決定トーナメント・決勝、神戸製鋼55-5サントリー」(15日、秩父宮ラグビー場)

 強い神戸製鋼が帰ってきた。社会人チーム同士の決勝では過去最多の55得点、過去最大の50得点差で3連覇を狙うサントリーを下した。トップリーグ(TL)では初年度の03-04年シーズン以来15季ぶり2回目、日本選手権は00年以来18大会ぶり10回目の優勝を果たした。今季加入した、ニュージーランド代表112キャップのSOダン・カーター(36)が勝利への指針を植え付ける一方で、16年に53歳で亡くなった平尾誠二さんの思いを振り返って臨んだシーズン。名門は豪快に復活した。

 優勝を確信したのは後半が始まってすぐだった。ハーフタイムにカーターは「後半10分までに点を取らなければいけない」と訴えていた。反撃にくる相手の息の根を止める。狙い通り8分までに2トライを奪った。「これで勝てると思った」。

 世界最優秀選手を最多タイの3回受賞。ニュージーランド代表112キャップ。2度のW杯制覇に貢献。紛れもなく名門復活に導いたのは世界一の司令塔、カーターだった。

 そのプレーは相手も驚愕(きょうがく)させた。サントリーCTB梶村は「スキルレベルが高い。判断は速いけど、相手が接近してギリギリのところで実行してくるので的が絞れない」と言う。敵までも魅了する世界一の技を披露した。

 そして戦術。ニュージーランドの名将スミス総監督、ディロンHCが今季から就任。カーターとともに、ニュージーランドスタイルをチームに注入した。

 橋本ゲームキャプテンは「明確な道しるべ、自分たちがどうすれば勝てるかという方向性を示してくれた」と明かす。圧倒的なボール保持から速くボールを動かすラグビーは試合ごとに浸透。この日量産した8トライ55得点として結実した。

 来日会見で「優勝に貢献したい」という言葉を実行したカーター。「リーダーシップだったり、若い選手の教育だったり、自分が貢献できるところをやろうと思った」。プレーでは指揮を執り、精神面でも支柱となった。

 「これからの2シーズンが最後のキャリアになる。最後を迎えるのに日本という国はこれ以上ない素晴らしい国だ」と話していた。選手としては晩年。アジアの地でも大輪を咲かせた。

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