貴景勝、初V 22歳3カ月&26場所スピード優勝 実った父の英才教育

 初優勝を決め、鯛を手に笑顔を見せる貴景勝(中央)。前列右から2人目は千賀ノ浦親方
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 「大相撲九州場所・千秋楽」(25日、福岡国際センター)

 小結貴景勝が大関高安と相星で迎えた千秋楽の“一騎打ち”を制し、13勝2敗で初優勝を果たした。平幕錦木をはたき込みで下し、2敗を死守。2敗で並んでいた高安が結びの一番で関脇御嶽海にすくい投げで屈した。年6場所制となった1958年以降では22歳3カ月の初優勝は年少6位、初土俵から所要26場所は4位タイのスピード記録。小結Vは9例目となった。父・一哉さん(57)から英才教育を受け、先代師匠・貴乃花親方の相撲道を継承した22歳がニューヒーローとなった。

 結びの一番を映すモニターを貴景勝は見なかった。支度部屋で優勝決定戦に備え、自身の世界に集中した。高安が倒れた瞬間、周囲の力士から「優勝だ!」と歓喜の絶叫が部屋に響いた。

 勝負の千秋楽。錦木戦は気持ちで勝ち切った。しかし左腕を気にするそぶりを見せ、「肩を痛めた」とうめいた。もう一番なら苦戦は必至だった。

 優勝直後の取材には唇が震えていた。「弱い自分が昨日の夜から何度も出てきた」。自身と向き合い初体験の緊張を乗り越えた。

 父・一哉さんとの二人三脚が結実した。「オヤジは執念を持ってやってくれた」。22歳は、こみ上げ目頭を熱くした。

 芦屋市の高級住宅街で育った。父から極真空手を教わりながら、7つの幼児教育の塾を掛け持ち、仁川学院小を受験し合格した。同小からは「(東大進学が当たり前の)灘中に3人に1人は進む」という高偏差値校。父は「寝る間もない幼稚園児だった。東大かプロのアスリートかだった」と振り返る。

 小学生時、父母が進路に関し対立。小3時に相撲に転向した際、貴景勝は「どうすれば(両親は)喜ぶの?」と父に聞いた。父は「大相撲の横綱になって欲しいわな」と答えた。それが運命だった。父子は一心同体、すべてを相撲に捧げた。

 ぶつかり稽古は泡を吹くまでやった。それ以上に“飯のかわいがり”が過酷。「味わった記憶がない」と貴景勝は言う。450グラムのハンバーグ3枚はノルマ。しばらく、その店の看板を見るのも嫌だった。1年で20キロずつ増え、小3で40キロだった体重は小6で80キロとなった。「オヤジがいたから今の俺がある」。175センチ、170キロ、たるのような肉体が父子の勲章だ。

 元貴乃花親方に迫るスピード記録。「おかげさまで優勝できました」と先代師匠への何よりの恩返しとなった。貴乃花魂を継承する22歳。初場所(来年1月13日初日、両国国技館)も勢い持続で一気の大関とりも十分にある。

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