貴景勝 怪力・栃ノ心吹っ飛ばし1敗単独トップ パワーの源は肉!勝ち越し一番乗り

 「大相撲九州場所・9日目」(19日、福岡国際センター)

 小結貴景勝が大関栃ノ心を押し倒して自身最速で勝ち越し、1敗で単独トップを死守した。角界屈指の怪力を電車道でねじ伏せ、これで1横綱2大関を撃破。幕内最年少22歳の初優勝へ向けた怒とうの勢いが続く。大関高安は平幕嘉風をはたき込みで一蹴し、1差を守った。2敗には高安、平幕大栄翔、碧山、阿武咲の4人が並ぶ。

 後半戦いきなりの強敵を貴景勝がなぎ倒した。踏み込み一発で後退させ、二発で吹っ飛ばし、とどめの三発目で栃ノ心が崩れ落ちた。弾丸ライナーのごとき猛撃で戦意を根こそぎ断つ2秒2の瞬殺。怪力自慢の大関相手にそれをやってのける末恐ろしい22歳だ。

 朝稽古から入念に勝利の形を描き、取組前にも準備した。土俵に上がれば無心になり、体の反応に任せてはじけ飛ぶだけ。会心の内容にも「(勝負が)始まったら覚えていない。感覚でやるので」と涼しい顔で言ってのけた。

 野性のような勝負勘を支えるのが「闘争心が一番出る」という肉食だ。幼少期より、父から食でも英才教育を受けた。「昔、親父に鯨をいっぱい食わされていた。高タンパク低カロリーで安くて、家に冷凍してあった。今は高いけど。硬いし、焼かれると食えない」と、食べることがすでにトレーニングだった。

 「3歳までの飯で体が決まる」と言われる食への知識も豊富。脂の多い肉は避け、今は「牛肉」を最高のエネルギー源とし、肉体の爆発力を呼ぶ。

 先場所後に貴乃花部屋が消滅した。転籍した初の場所で大暴れすることが師匠だった元貴乃花親方への恩返しと誓ってきた。気は早いが、初優勝となれば22歳3カ月は歴代6位、初土俵から所要26場所は歴代5位(ともに58年以降)のスピードとなる。ともに1位は貴乃花(当時貴花田)が君臨する。元師匠に迫る記録を出世への通過点としたいところだ。

 自身初の勝ち越し一番乗りで、1敗で単独トップをキープ。「15日間の勝負で、9日終わっての成績は何の参考にもならない。あしたの準備をするだけ」。貴乃花魂を継ぐ若武者はみじんも心を揺るがせない。

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