伊調馨 復帰は「自分勝手じゃないか」と葛藤も、レスリング愛消えず

シニアの部、57Kg級で優勝した伊調馨=三島市民体育館(撮影・中田匡峻)
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 「レスリング・全日本女子オープン選手権」(14日、三島市民体育館)

 57キロ級で、五輪4連覇の伊調馨(34)=ALSOK=が、16年リオデジャネイロ五輪以来2年ぶりの復帰戦で優勝した。実戦復帰するにあたって「自分の中ではすごく迷ったし葛藤があったが、最終的には『またやりたい』という気持ちが背中を押した」と経緯を明かした。

 リオ五輪後は1年以上休養していたが、今春から日体大を拠点に本格的に練習を再開した。この間には、栄和人前強化本部長から受けたパワハラ問題なども顕在化。「私のことを心配して『本当はレスリングをやりたいんじゃないか』と動いてくれた人もいた。この問題が起きて、(進退について)自問自答した」という。

 レスリングへの未練もあったが、周囲に迷惑、心配をかけることへの不安もあった。「(現役続行は)自分勝手じゃないかとか、わがままかなと自分でも思った」といい、「苦しい、やりたい、苦しい、やりたいの繰り返しだった」と当時の心境を明かした。

 悩み抜いた末、出した結論は「最終的に自分がやりたいことはレスリング」。所属では広報部に移り、会社に通って社業に従事していた時期もあったが、体を動かせない日々は退屈だった。「OLに向いてないなと思ったこともあるし、こんなにレスリングを好きなんだと感じた。自分でもビックリするくらい」。慣れないデスクワークの中でマットに対する思いがよみがえり、練習を再開する中で「挑戦できるなら挑戦しないと自分自身に負けている」と次第に思いを強くしたという。

 東京五輪挑戦には「まだそこまでの覚悟はない」と言葉を濁したが、その代表選考にもつながる12月の全日本選手権への出場権を得た。「マットに上がることで喜んでくれる人が多い。でも私としてはもっと強い自分を見せたい」と、結果で恩返しすることを誓った。

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