豊ノ島、13場所ぶり十両返り咲き「本当にうれしい」

 日本相撲協会は26日、東京・両国国技館で九州場所(11月11日初日、福岡国際センター)の番付編成会議を開き、西幕下筆頭で6勝1敗だった豊ノ島(35)=時津風=が13場所ぶりに十両に返り咲いた。幕内だった16年名古屋場所前に左アキレス腱(けん)を断裂。2場所連続全休し同九州場所で十両からも陥落した。そこから度重なるケガに苦しみ、12場所連続で幕下生活が続いていた。

 都内の時津風部屋では沙帆夫人、6歳の長女希歩ちゃんに抱きつかれ、満面の笑み。「番付に載ってみないと実感は湧かないけど本当にうれしい」とかみしめた。この日、師匠の時津風親方(元幕内時津海)から昇進を聞かされた。十両昇進を師匠から聞くのは04年夏場所の新十両以来。「14、15年前か。不思議な感じ。(当時も)めちゃくちゃうれしかったけど泣くほどうれしいわけじゃなかった。今回の方がうれしい」と続けた。

 今年初場所から「負け越したら引退」と腹をくくってきた。「しっかりした覚悟ができた。引退と隣り合わせでやってきた。長かった。プライドもあるけど地位が付いてこない。年齢はいって相撲界も長くなった。場所に行けばあいさつされて、地位が付いてこない情けなさがあった」と心身ともギリギリに追い込んできた。

 支えは家族。2年間、無給でも信じてくれた夫人。最初の左アキレス腱断裂の時、入院先の病院で涙をともに流した。「次に泣くのは(関取に)戻って泣こうと」と夫婦で誓い合い、実際に秋場所の千秋楽に「ありがとう、感謝している」と伝え喜びの涙を流し合った。娘は「トト、相撲をやめないで」と言ってくれたのが気持ち的に大きかった。「がんばろうと思えた」と、パパに力を与えた。

 夫人は「結婚して今一番やせている。一石二鳥」と2年の間に7キロダイエットに成功させてくれたと最初はジョークで返していたが、次第に苦難を思い出し涙が流れた。「戻ると信じていた。尊敬しています」と、神頼みで神社通いした日々だった。娘は将来の夢を問われると「看護師。お父ちゃんのケガを治したい」と、パパをうるうるさせた。

 関取復帰が目標ではない。2年の間、横綱白鵬(宮城野)、大関高安(田子ノ浦)らが稽古で胸を出してくれた。「対戦できるところまで戻って、自分の居場所と言える場所に戻る。勝利して恩返ししたい」と、力を込めた。

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