羽生、復帰V 「楽しむ」はずが…勝負師に火がついた!「最短で強くなりたい」

 「フィギュアスケート・オータム・クラシック」(22日、オークビル)

 男子は冬季五輪2連覇の羽生結弦(23)=ANA=が4回転サルコーで転倒したフリーで165・91点の2位にとどまったが、合計263・65点をマークし、2月の平昌五輪以来となる右足首故障からの復帰戦を優勝で飾った。羽生はショートプログラム(SP)首位で迎えたフリーでループ、トーループの4回転ジャンプを決めたが、ルッツ、フリップの2種類のジャンプが入らない演技となったこともあり、技術点が伸びなかった。SP2位の車俊煥(韓国)がフリー1位の合計259・78点で2位だった。

 こんなもんじゃない。フィニッシュのポーズで突き上げた左手を下ろすと同時に、羽生は顔をしかめてほえ、悔しさをあらわにした。肩で大きく息をする。五輪で2連覇を果たして以降、結果にこだわらず「楽しむ」ことを掲げてきたが、羽生は根っからの勝負師だ。同門の後輩・車俊煥に3・87点差と迫られ「勝たないと意味がない」。静かにともっていた王者の闘志は一気に燃え上がった。

 中盤の4回転サルコーで転倒。続くジャンプは規定で基礎点が0・8倍になることを承知で「自分にでき得る最高のコンビネーションジャンプ」と4回転トーループ-トリプルアクセル(3回転半ジャンプ)を狙いにいった。しかし2回転になり、実らず。「点数に関してはふがいない気持ち。まだできたなと思うところがたくさんあった」。不完全燃焼に終わった。

 またルール改正で30秒短い4分になり、要素をこなすためにせわしなく動かざるを得なかった。切れがなくなり「このプログラムに対する体力がない」。踏み切りと着氷の際に右足首に負担がかかる高得点のルッツは回避した構成にしており、練習も積み切れていない状態だった。

 次戦はグランプリ・シリーズ第3戦のフィンランド大会(11月2~4日・ヘルシンキ)。2022年の北京五輪については「そういう気持ちは特にない」と話したが「今回の試合で一番感じたのは、いい演技ができないのはすごく悔しいなということ。もっと強くなりたいと心から思った」。さらに「最短で強くなりたい」とまくし立てた。

 幼い頃に憧れたエフゲニー・プルシェンコ氏(ロシア)が用いた演目をアレンジした今回のフリーは、起源という意味で「Origin」と名付けた。闘志をたぎらせてこそ、羽生結弦。7カ月ぶりに立った勝負の銀盤は“源”を、羽生が氷上に立つ意味をあらためて教えてくれた。

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