稀勢の里、ド執念の粘~り腰 ヒヤヒヤ逆転!297日ぶりの連勝 国技館は大歓声

 「大相撲秋場所・2日目」(10日、両国国技館)

 左大胸筋負傷などで8場所連続休場から進退を懸けて出場する横綱稀勢の里(32)=田子ノ浦=が小結貴景勝(22)=貴乃花=を逆転の突き落としで下し、初日から2連勝とした。連勝は昨年九州場所の5、6日目以来、実に297日ぶり。幕内通算勝ち星を706勝に伸ばし、歴代7位の横綱武蔵丸=現武蔵川親方、本紙評論家=に並んだ。押し、いなしを残した執念星を八角理事長(元横綱北勝海)も高評価した。

 悲鳴が上がり、歓声が沸き、最後は「バンザ~イ」。千両役者、稀勢の里のヒヤヒヤ星に国技館は地鳴りのような拍手に包まれた。

 対戦成績で1勝2敗と負け越していた22歳若武者、貴景勝の当たりをまともに受けた。押しこまれ俵に右足がかかる。いなされて泳いだが、ギリギリで落ちない。続くのど輪の連続攻撃にまた後退。徳俵に右足1本でとどまった。相手の攻めをしのぐと勝機が来た。右に開き、豪快に突き落とした。

 興奮し、勝利後も土俵で厳しい表情を緩めない。支度部屋では「まあ、集中してやりました。しっかり集中してやります」といつもの通りの“稀勢節”。あとの質問は無言か、うなずくのみだった。

 年6場所制が定着した1958年以降の横綱ではワーストの8場所連続休場の汚名をすすぐには勝つしかない。「すべてを懸ける」と進退を懸け復帰した秋場所。追い込み戦う肉体を仕上げて来た。

 「土俵回りが大事」と夏巡業でも四股、すり足は誰より入念。朝の稽古時間が終わってもまだ続けて汗をかいていたこともあった。

 食事面も改良した。朝、晩2食どか食いして寝て太るのが力士の生活。父・貞彦さんは「普通の人のように2食がいい。月に1回、断食。週に1回はプチ断食をした方がいい」と勧めた。リハビリ中、184キロまで増えた体重は今、176キロに減った。鍛えた下半身、締まった肉体が前のめりになりながらギリギリで残った理由だ。

 父は昨年11月に胃がんの手術を受けた。稀勢の里の紹介で腹腔(ふくくう)鏡手術では日本でも5本の指に入る名医が執刀。元気に回復したが、20キロも体重が減った。そんな体で自らを心配する父に応えるには、引退をはね返す活躍しかない。

 297日ぶりの連勝。優勝12回を誇る武蔵丸に並ぶ歴代7位、幕内通算706勝を挙げた。八角理事長は「いい相撲だった。よく残った。残るんだという気持ち、必死さだよ。こういう相撲で勝つと自信を持つ」とうなった。3日目、初顔の豊山も突破なら復活へ確かな光が見えてくる。

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