高安かど番脱出 大関の意地と執念!全勝の御嶽海止めた「気持ちですね」

 高安(右)は御嶽海を突き落としで下す
2枚

 「大相撲名古屋場所・12日目」(19日、ドルフィンズアリーナ)

 大関高安(28)=田子ノ浦=が、全勝でトップを独走していた関脇御嶽海(25)=出羽海=に土をつけた。攻め込まれたが土俵際、執念の突き落とし。行司軍配は相手に上がったが、物言いの末、足が残っており、軍配差し違えで白星を手にした。負ければ13日目に優勝が決まる可能性があったものの、大関の意地で阻止し、かど番を脱出した。2敗が消え、3敗で追うのは大関豪栄道、平幕の豊山、栃煌山、朝乃山の4人。御嶽海は13日目に豪栄道と対戦する。

 番付の意地の分だけ高安が上回った。ほんの数ミリ、0コンマ何秒の差。行司軍配を一度は受けかけながら、一度上げた団扇(うちわ)をおろさずにそのままぐるりと回す、いわゆる回し団扇で御嶽海にクルリと返った。物言いが付き、協議の末、両足とも俵に残っていると判定。軍配差し違えで全勝街道を止めた。

 2敗だった朝乃山と栃煌山が敗れ、負ければ13日目にも優勝が決まる可能性があった。結びの一番、自らは4敗を喫し、V戦線から脱落していたが壁になる使命を果たした。

 相撲内容は完敗だった。乗りに乗る関脇に立ち合い、当たりで押し込めない。左下手を絞られて、まわしが取れず苦しい形。右上手を取られ、出し投げで一回転させられた。勝機と見て出た相手を土俵際でこらえてかわした。

 「気持ちですね」との言葉がすべてを物語る。17年夏場所後に大関昇進を果たした際、親交ある御嶽海からは祝福と、次に続く決意も伝えられた。追われる立場となったこの一年、自らは悲願の初優勝に、あと一歩届かぬままでいた。

 先場所は左腕を負傷し休場。今場所も腰を痛め、成績が伸びない。そんな中、後輩が優勝へ一直線に走っていた。「今、持っている力を全力でいきました」。簡単に先を越されるわけには絶対にいかなかった。

 先代師匠の故鳴戸親方(元横綱隆の里)から「土俵際が面白い」と教えを受けてきた。猛稽古で染みこませた土俵際、ギリギリの感覚。執念星で、V戦線を14日目以降に持ち越した。

 まずは最低限のかど番脱出。「もう一回気を引き締めて、浮足立たないようにケガしないようにしっかり相撲を取る。残り3日、存在感を示す」。3横綱全員が休場し、新大関栃ノ心が離脱した荒れる名古屋で、ようやく『角界の看板』が場所を沸かせた。

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